日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)が4~9月、前年同期比2.2倍の約3兆円に膨らんだという。30日付日本経済新聞が1面トップで報じた。
武田薬品工業があえて多額の資金を借り入れてスイスの製薬大手を1兆1100億円で買収したのをはじめ、内需型や中堅企業も海外に活路を求めている。
世界経済は不透明感を強めているが、日本企業の海外買収を取り巻く環境は良好だ。「実質無借金」企業は上場企業全体の5割に迫り、手元資金は豊富。円高に加え、海外企業の株価が下がっていることも買収資金を抑える――と日経は伝えている。
日本企業の体質が強固なのは、バブル崩壊後の「失われた20年」の間に、スリム化や仕事の効率化で高収益・無借金体質へと涙ぐましい努力をしてきたからだ。国の「借金体質」と比べて民間企業がいかに頑張ってきたかが分かる。
世界の中でも日本企業は強い。「強い円」を背景にして海外進出やM&Aを図れば、さらに強くなるだろう。
民主党の政治家や財務省の官僚たちも「日本が破綻する」などと、日本が発展途上国や弱小国であるかの如き言説ばかり言うのではなく、民間の強さに学んで、大国・日本として世界に向き合ってほしいものだ。(仁)