英エコノミスト誌(ウェブ版)が17日付で、「ユーロを救う方法」という記事を書き、ドイツなど債権国がギリシャに対する債権放棄を断行すべきだと提言した。

記事ではユーロ救済策として、1)債務を支払う能力のない国(ギリシャ)を明らかにし、債務のリストラを行う(債務国にとっては債権放棄)。2)デフォルト(債務不履行)に耐えられるよう欧州各国の銀行を支援する。3)ユーロ圏のマクロ経済政策を緊縮財政から成長重視に転換する。4)長期的にユーロ危機が再発しないシステムをつくる(共通の財政機能を含む)――などを挙げた。

同誌は「ギリシャだけが危険」と断言している。つまり、ギリシャだけが債務不履行の可能性が高く、イタリアやスペインはそこまで危険ではないと分析、「一線を引くべきだ」と主張した。だから、ドイツなどがギリシャに対する債権放棄を決断したとしても、それがイタリアやスペインには波及しないという見立てだ。

ギリシャに対する債権放棄を行い、ギリシャをユーロにとどまらせなければ、ユーロが暴落するなどして、「EU各国で1年でGDPの2~5割の損失が出る」というアナリストの分析を紹介。ドイツの納税者は債権放棄を受け入れるべきだと力説した。

確かに合理的に分析すればそうなのかもしれない。ただ、ドイツの有権者がそこまで合理的に判断できるかというと、簡単ではない。「なぜ俺たちの税金で、怠惰なギリシャの尻ぬぐいをしないといけないのか」と反発するのが当たり前の反応だ。かえってエコノミスト誌の「ユーロを救う方法」の困難さが浮き彫りになった格好だ。(織)