12日、不適切な発言で辞任した鉢呂吉雄・前経済産業相の後任に、枝野幸男・前官房長官が就任した。

枝野氏は、鳩山政権で行政刷新相として初入閣、菅政権で民主党幹事長、官房長官を歴任。民主党内では前原グループに属する。マスコミからは「能力重視」「手堅く、安定感がある」「成長戦略の期待ができる」という評価も聞かれるが、果たしてどうか。

弁護士出身で細かい法律頭を持つ氏が、官房長官時代に大きな失言もなく無難にこなしたという評価にはうなずける部分もある。だが、経営者的な視点で民間企業の活力を引き出したり、結果が不透明な成長産業や未来に伸びる産業を見抜き、そこに大胆な投資を行うなどして、国富を増やすことができるか。

菅政権下では、所得税・法人税の臨時増税(復興増税)や、社会保障と税の一体改革に伴う消費増税について盛んに協議が行われていたが、枝野氏がその中枢に身を置いていたことを忘れてはいけない。

原発事故についても、東京電力の賠償問題にからめて、銀行に対して原発事故を想定しなかった責任を追及する形で、東電への債権を放棄するように促す発言をしている。その結果、銀行株は急落。あまりに非常識な発言に、銀行側は猛反発したことは記憶に新しい。基本的に経済オンチである可能性が高いのだ。

また、枝野氏は東北大学時代に学生運動に傾倒。左翼過激派の「革マル」とつながりが深いJR総連、JR東労組から計400万円の献金を受け取ったり、99年の国旗国歌法案の採決時には反対票を投じるなど、左翼的な思想信条を持つ。左翼政治家が、民間の活力を引き出したり外国への技術の売り込みを進めたりできるか、疑問が残る。(格)