日本は経済発展や日米同盟の強化を目指すべきと訴えた、米元国務副長官のリチャード・アーミテージ氏の寄稿が、5日付読売新聞に掲載された。以下、要約。
- 日本の経済力が後退すれば、アジアと世界に対する影響力も低下し、いずれ二流国に落ち込むだろう。だが、日本国民がそろって決断すれば、世界の一流国の座にとどまり、その地位を維持するために必要な行動がとれるはずだ。
- 東日本大震災以降、世界の数多くの国が支援を申し出た。その底流には、今日の地球規模の大問題に日本が万全な態勢で取り組まない限り、世界をもっと安全で思いやりあふれる場所にすることはできない、という国際社会の認識があった。
- 米国民は、大震災での「トモダチ作戦」を誇りに思っている。これは同盟国としての米国の義務だった。同時に、我々が同盟関係をいかに大切に感じているかを示す機会でもあった。現在だけでなく将来においても、この同盟が重要であることを、もっと理解してもらいたい。
- 中国の再興隆が起こる地域(アジア)が強力で活発な民主主義国で構成されている必要がある。だからこそ、日本が自らを強化、活性化する道を選ぶことを期待する。そのための重要な要素は、日本経済の再生である。
- 日本の強さと活気は、我々の同盟からももたらされる。新首相には、留保抜きで日米同盟を完全に支持すると表明し、任期中の関係強化を期待し、求めていることを示してほしい。
氏は、日米関係が良好だったブッシュ前政権時代の国務副長官で知日派として知られる。こうした氏の考えは、日本の左翼勢力から見れば、アメリカの国益に基づいたものという見方もできるだろう。
だが、アメリカが何を大義とし中国が何を大義として、自国を統治し、また世界に対して働きかけているかを考えれば、日本がどの国をパートナーにすべきかなど迷うことはない。野田首相には、日米同盟の強化、速やかな普天間基地の辺野古移設などを進めてもらいたい。(格)