自分でドジョウとか泥臭いとか言うからだ。野田佳彦氏は30日付英紙フィナンシャル・タイムズ社説の見出しで、スタート早々「パッとしない」(unflashy)と評されてしまった。社説は日本の政治システムについて歯に衣着せず書いており、客観的に見てその通りと思わされるので、2回に分けて全文紹介する。

「(見出し)日本の新たなパッとしない指導者(Japan’s latest unflashy leader)」

「野田佳彦は本日、小泉純一郎が退陣して以来、5年間で6人目の日本国首相となる。彼は月曜に与党・民主党の代表に選ばれた。同党は菅直人を就任1年余りで――公式には辞任だが――お払い箱にした(ditched)」

「野田氏はあまり期待を持たせない言い方をした。党代表戦の投票直前の演説では、自分は金魚(goldfish)ほどパッとせずドジョウ(loach)に似ていると述べた。水底の魚のように、汗をかいて日本の泥臭い政治(muddy politics)を前進させることができれば本望だと」

「まさに泥臭いの一言だ(Muddy sums it up)。日本人は、国に方向性を与えてくれる強いリーダーがほしいと言っている。だが、指導者が選ばれてはアッサリ捨てられる日本の政治プロセスは、不透明以外の何物でもない(anything but transparent)。直近の首相6人のうち総選挙で選ばれたのは、民主党の不幸なリーダー鳩山由紀夫だけである。他の5人は全員、党内の入れ替え人事(party reshuffles)で首相に就任したに過ぎない」

「この点を際立たせるかのように、国民に人気のある前原誠司は今回の代表戦で3位に甘んじた。他国の議会制度でも、首相は国民によって選ばれるとは限らない。2007年のイギリスでは、労働党の国会議員による投票でゴードン・ブラウンがトニー・ブレアに替わり首相となった。だが日本では、今回のような不透明さ(opacity)が標準なのだ。これは民主主義と国民への説明責任(accountability)を害する行為(disservice)である」

最後の一文は、国民が指導者を選べない日本のシステムの限界を鋭く突いている。それは「民主主義への侵害」なのだ。続きは明日。(司)