29日の民主党代表選で混戦の末、野田佳彦財務相が海江田万里経産相を決戦投票で下し、新代表に選ばれた。30日に衆参両院で首相指名選挙が行われ、第95代首相に就任する。
野田政権で日本の経済や外交はどうなるだろうか。
代表選ではややトーンダウンしたものの、大震災の復興財源のための増税は引き続き追求するだろう。野田氏は、国内で国債の9割以上が消化されている日本の場合も、外債の割合が多いアメリカやEUの財政危機と同一視しており、復興増税をいずれ導入し、消費税の増税にも早期に道をつけようとするだろう。
そのために自民党や公明党の協力を得て、「大連立」にまで持っていこうとするだろうが、野田政権での解散・総選挙の可能性が高いため、そう連携はそう簡単ではない。むしろ、「増税の野田政権」との差別化を打ち出し、衆院選を戦う路線を野党がとるだろう。
外交・安全保障では、野田氏は日米同盟重視、集団的自衛権の容認、東京裁判史観の拒否など、真っ当な保守派としての主張を打ち出してきた。それを首相としてどこまで貫くことができるかが課題だ。本人の政治スタンスが「中庸」を旨とするだけに、はっきりした物言いは影を潜め、無難な舵取りをするだろう。
その意味では、野田政権はよく言えば無難で、悪く言えば退屈な展開となるだろう。ふつうならば、野田政権である程度の実績を出し、来年の春から夏にかけて衆院選を打つだろうが、安全運転に徹して2013年まで打って出ない可能性もある。(織)