菅首相は、浜岡原発の全停止要請やストレステストの導入など、「国内原発の全停止」に向けた方針を次々と打ち出しているが、今度は、運転期間が長い原発を止める作戦に動き出したようだ。23日付朝日新聞が伝えている。

日本国内では、原発は当初30年から40年程度の運転期間を想定してつくられてきた。しかし、国は1996年に、定期検査に加えて劣化しやすい部分の監視を強化するなどの条件で、60年の運転も可能とした。

だが、菅首相は22日の参院予算委員会で、みんなの党の小野次郎氏から「脱原発」の時間的な見通しをたずねられこう答えている。「現在存在している原子炉の耐久年数、それに代わる新たな原発の建設というものが、そう簡単には、なかなか理解は得られないだろう」。これは、「運転期間が長い原発を動かすことも、新しくつくることも許さない」と発言したに等しい。

この日は関西電力が、来年7月に運転開始40年を迎える福井県の美浜原発2号機の、40年超の運転を目指す報告書を国に提出したが、記事でも「首相の発言が運転延長に影響を与える可能性もある」としている。1970年代に運転が開始された国内の原発は福島第一を除いて12基あり、今後、それらの原発が次々と40年を超えていくが、「菅流」でいけば、それらの原発もすべてストップしていく。

菅首相の「奇策」は、国家衰退の「愚策」である。(格)