原発の再稼働をめぐる混乱が続くが、菅首相は当初から日本全国の原発を停止させるつもりだったことが、次第に明らかになってきた。

8日付朝日新聞によると、菅首相は浜岡原発の運転を停止させた後の5月中旬、周辺に「経産省の抵抗がすごい」とこぼし、「次の革命をやる。脱原発でいく。なえてたまるか」と語ったという。当時、菅首相は、「浜岡原発には特有の事情がある」と説明していたが、すでにその頃から「全原発停止構想」を描いていたようだ。

5月11日の本欄でも紹介したが、東日本大震災直後、元市民運動家の菅首相の下には、昔の同志たちから「浜岡原発は日本で最も危険」などというメールが続々と届いていたという。また、菅首相が中部電力に停止要請した翌日の5月7日には、東京都内で反原発の市民団体など約1万人がデモ行進を行い、「祝・浜岡原発停止」「すべての原発を止めろ」と訴えた。「なえてたまるか」と口にした菅首相が、こうしたかつての仲間たちと連動していたことは想像に難くない。

ちなみに8日付朝日新聞は、現在の首相の状況について、首相周辺の人物の分析をこう伝えている。「周りから人が離れることで、市民運動家としてどんどん原点回帰している」。

浜岡原発の停止、ストレステストと、あの手この手を繰り出して原発を止めていく菅首相だが、次の一手は「脱原発解散」とも言われている。いずれにしても、ストレステストの実施によって、全国の原発の再稼働が数カ月単位で遅れることは必至。テストが無事に終わったとしても、菅首相はその頃には新たなアイデアを出して、一生懸命、原発を動かさないように努力するだろう。

国を発展させるビジョンはなくても、国を潰すビジョンだけは明確に描いている菅首相。学生運動のリーダー、市民活動家という経歴を持つ国家破壊主義者が、国家を経営すればどうなるかという結論が、かなり鮮明になってきた。菅首相には、国が壊れる前に、速やかに政権の座から降りていただきたい。(格)