《ニュース》

同性婚を認めていない民法などの規定が憲法に違反するとして、東京都などの同性カップルなど8人が、国に計800万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、規定が「合憲」であるとの判決を示しました。

これまでに、全国の5高裁で同種の訴訟が6件起こされており、これまで5件連続で「違憲」との判決が続いていました。2審で「合憲」という判断が出たのは初めてとなります。

《詳細》

訴訟は、同性カップルなど8人が、国に1人当たり100万円、合計800万円の賠償を求めて起こしたもので、男女間の婚姻を前提とした民法と戸籍法の規定は、「法の下の平等」を定めた憲法14条、「婚姻の自由」を定めた24条1項などに違反すると主張していました。国側は、憲法が保障する婚姻は異性同士のみが認められるもので、国会の裁量の範囲を逸脱しないと反論しています。

28日の判決で東京高裁の東亜由美裁判長は、憲法24条が定めている婚姻は「伝統的な婚姻形態である異性間」のものであると解釈。生まれる子の側から見て、100%近くが夫婦間の子として出生して養育されている事実などから見ても、「夫婦とその子」を「基本的な家族の姿」として想定した現状の法制度は合理的であるとしました。

また、憲法前文で「われらとわれらの子孫のために(中略)この憲法を確定する」とうたうように、国家が、「社会が世代を超えて維持されることを前提とする」ことを指摘。法律婚制度が、生まれてくる子の出生環境を整えるという観点から実際に有用であり、異性婚だけを保護する「(同性同士との)区別的取扱いは、合理的な根拠に基づく」としています。

さらに、現状においても、同性間の結合関係は侵害されておらず、扶養義務や相続などは契約で代替できること、人口比で93%の自治体が、同性のカップルを婚姻に相当する関係として認めるパートナーシップ制度を導入している現状などを鑑み、同性婚が認められていないことは「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反しないと指摘しました。

判決の中では、家族に関する法制度自体は、社会の基本的な構成単位の在り方を定めるもので、「差別を解消することをその制度本来の目的とするものではない」と指摘。「基本的な家族」から外れる同性の者同士に関わる家族に関する法制度については、多種多様な制度設計があり、国ごとに多様な選択決定がされていると指摘。国会内で審議が尽くされるべきである、としています。

現在の日本の状況下で、このようにまっとうで良識的な判決を出すと、裁判官に対して左翼から個人攻撃も含めて色々な反応があることはつとに指摘されていますが、それにもかかわらず、良心に照らして判決を出した東亜由美裁判長の勇気に敬意を表したいと思います。

原告は上告する方向であり、早ければ来年にも最高裁が統一判断を示す可能性があります。

《どう見るか》