日米欧など28の主要な石油消費国でつくる国際エネルギー機関(IEA)が23日、加盟国が有事に備えている備蓄石油を日量約200万バレルで30日間、計6000万バレル放出すると発表した。協調放出はIEA創設以来6年ぶり、3回目。

原油をめぐっては、産油国のリビアや中東・北アフリカの政情不安、日本の原発停止などの影響で、価格が上昇傾向にあった。今月8日、産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)の定例総会では、原油の増産に踏み切ると期待されたが、合意は見送られ、その後も価格の上昇が続いていた。

さて、問題は日本である。ここ数日で暑さが強まり、早くも夏の電力不足が懸念されている。原発が動かない代わりに火力発電で補おうとしているが、その燃料の主役は「石油」だ。だが、OPECやIEAの動きでも分かるように、石油は常に国際情勢による価格変動リスクがある上、中国等に海上輸入ルートを遮断されれば日本には一切入って来なくなる。原発を捨て、火力頼みになることは国防上、きわめて危険なのだ。

今月30日発売の弊誌8月号の、南相馬市取材レポートでも伝えているが、政府は「福島の住民に、放射能による健康被害は起きない」という専門家の調査結果に対して無回答を決め込み、放射能の不安をあおり続けている。

7月からは東京・東北電力管内で15%節電の「電力使用制限令」が発動されるなど、全国的により一層「節電」が叫ばれるだろう。しかし、この「節電全体主義」は個人や企業の自由な活動を阻み、日本経済を衰退させてしまう。菅首相は国民に節電を求める前に、電力会社や県知事に責任を押しつけるのでなく、自らの責任で全国の原発の再稼働を指示すべきである。(格)

本欄関連記事:

6月1日「新設の島根原発までも稼働延期」 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2098

6月9日「OPEC原油増産見送り やっぱり原発は大事」 http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2151

参考記事:

2011年7月号「原発を救え!」( http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2048