外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が21日午前(日本時間同日夜)、米ワシントンで開かれ、中国の抑止戦略を打ち出すとともに、2014年までの米軍普天間基地移設を正式に断念した。

共同声明では、中国が尖閣沖や南シナ海で周辺国と対立していることを踏まえて、「国際的な行動規範の順守を促す」と牽制。また、名指しは避けたものの、中国を念頭に日米で「地域の軍事力・活動の拡大、サイバー空間などの脅威に対応」「航行の自由を保護し、安全で確実なシーレーン(海上交通路)の確保」することを確認した。

評価できるのは、上記の中国への牽制姿勢を明確にした点や、日米で共同開発中の次世代迎撃ミサイルの第三国への移転を容認した点、そして、日米とオーストラリア、韓国、ASEAN諸国との安全保障の強化、日米印との対話の促進をうたった点などだ。

一方で、懸念されるのは、今回の共同声明にどれほどの実現性があるか、という点である。日本は、首相退陣を巡る混乱の中にあるが、今後、民主党政権の中国に対する外交姿勢、国防策が具体的にどう変わるのか疑問であり、普天間問題についても、沖縄への説得は困難を極めており、結局は「固定化」が進む可能性が高い。

民主党政権の過去を振り返っても、前政権が進めていた海上自衛隊のインド洋上での給油活動やパトリオットミサイルの全国配備を中止してきた。また、尖閣事件で中国に屈し、今年6月に中国艦隊が沖縄本島と宮古島を通過した際にも何の意思表示もできないでいる。つまり、今回の共同声明についても、約束の内容は素晴らしいが、約束を交わした本人(日本の民主党政権)に、約束を守る気力も、実力もなければ、その約束は何の意味も持たないということである。

鳩山前首相も、菅首相も共に「ペテン師」であることは周知の事実だが、今後、菅政権、もしくは民主党政権が、政権の延命を狙って今回のような空手形や口約束を乱発することが懸念される。私たち国民はそれに一喜一憂せず、冷静に見守っていく必要がある。(格)