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トランプ米政権は、国内の犯罪対策を強化するため、保釈金なしで被告人を保釈できる「キャッシュレス保釈」の廃止を目指しています。

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犯罪容疑で逮捕された被告人は通常、裁判を待つ間に拘留所に収監されますが、保釈金を担保として支払うことで、裁判に出廷することを条件に一時的に釈放が認められます。

しかし、こうした保釈制度が「保釈金を払えないほど貧しい人々への差別だ」として、1990年代にワシントンD.C.が保釈金なしで保釈する「キャッシュレス保釈」を許可したことを機に、キャッシュレス保釈を導入する州が増えていきました。

トランプ大統領は、「危険な犯罪者が迅速に釈放される恐れがある」として、キャッシュレス保釈などの政策を問題視してきました。8月25日には大統領令に署名し、「ワシントンD.C.におけるキャッシュレス保釈の廃止」と「キャッシュレス保釈を導入しているその他の州や地方自治体への連邦政府資金の拠出を停止」を発表しました。

これに対し、米民主党や左翼メディアを中心に、この大統領令に対し「金持ち優遇だ」として批判の声が挙がっています。

一方、8月22日に米ノースカロライナ州で、ウクライナ人難民の女性が保釈中のホームレスのアメリカ人の男によって殺害されるという悲惨な事件が起きました。男は過去12年間に窃盗罪、危険な武器を用いた強盗、脅迫行為など重犯罪で計14回の逮捕歴があり、今年1月にも軽犯罪で逮捕・起訴されていたものの、州裁判所は出廷について"書面で約束"するのみで釈放されていました。

キャッシュレス保釈を推進してきた米メディアは最初、この事件を"不都合な真実"として報じませんでしたが、事件時の防犯カメラの映像がSNS上で拡散されたことを機に、全米で犯罪に関する議論が再燃。同州の共和党議員らは9月10日、民主党の「犯罪に甘い」政策が殺害事件につながったとして激しく非難しています。

アメリカでは10日、保守系の活動家であるチャーリー・カーク氏がユタ・ヴァレー大学での講演中に撃たれて死亡する事件が起きるなど、治安対策は急務となっています。

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