退陣を表明しながら、時期を示さずに居座りを続ける菅直人首相に対して、経団連の米倉弘昌会長が20日、「ちゃんと言わないと、若い人の教育上具合が悪い」と指摘し、改めて早期退陣を迫った。

21日付の日経新聞によると、米倉会長は、菅首相が再生可能エネルギーの全量固定価格買い取り制度の早期導入を指示したことについて、「整合性・透明性に欠ける唐突な意思決定」と不信感を示し、「エネルギーの高騰に結びつき、日本企業の足かせが増える」「このままでは海外に出ざるを得ない状況になる」と釘を刺した。

昨日の本欄でも紹介したが、菅首相は19日夜時点では、赤字国債を発行するための特例公債法案と二次補正予算案の成立と引き換えに、退陣の意向を固めたと伝えられていた。だが20日夜に、改めて岡田幹事長や仙谷代表代行ら民主党幹部が菅首相と会談し、二つの法案を通すには野党の協力が不可欠で、そのためにも首相の「退陣の明確化」が必要だと迫ったが、首相は「まだやらなければいけないことがある」と早期退陣要求を拒否したという。

政局は、どの政治家がどんな利害で動いているかという分析が面白いが、一歩引いた目で見れば、政治家は国を代表する人々であり、首相はその頂点に立って国を率いていく人物である。米倉会長が指摘するように、教育的影響を考えれば、国のトップである首相が身内をも騙して権力の座にしがみつこうとする姿を、これからの日本を担う若者や子供たちが見た時にどう感じるか。

後世のためにも、菅首相には一刻も早くお引き取り願いたい。(格)