菅直人首相は19日夜、自らの辞任時期について、第二次補正予算と赤字国債の発行を可能にする特例公債法の成立を条件とする意向を固めた。これまで「一定の目処」などと語り、辞任時期について明言を避けてきたが、初めて辞任条件を示した。政権幹部の主張を受け入れた形だ。
ただし、菅首相はさらなる辞任条件として、自然エネルギーの普及を図る全量固定価格買い取り制度(太陽光や風力などで発電した再生可能エネルギーを電力会社が一定期間、同価格で買い取る)の関連法案成立も条件に入れるよう求めている。
同法案は、経済界や電力業界に近い議員の反対が強く、閣議決定から3カ月以上経っても国会で審議入りしていない。自民・公明も法案には否定的な姿勢だ。この買い取り制度にこだわれば、辞任時期が8月以降になる可能性もある。
全量固定価格買い取り制度は2009年民主党マニフェストにも明記されており、原発廃止を願う菅首相は自然エネルギーの普及を自らの成果として遺したいのだろう。
しかし、本誌が指摘しているように、自然エネルギーへの早急なシフトは国のエネルギー供給を不安定化させ、日本経済に致命的なダメージを与えることになる。
しかも、固定価格での買い取りは電力会社にとってコスト高となるため、電気料金の値上げは避けられない見通しだ。
今回の「民主党地震」の最後の締めくくりとして、菅首相は日本経済崩壊への道筋をつけようとしている。しかも、2日の不信任案否決での“騒動”を考えれば、この条件もまたウソである可能性は否定できない。菅首相には2次補正予算成立と言わず、一日も早い辞任を求めるものである。(雅)