トランプ米大統領は4月29日、自動車産業が集積し、ラストベルト(さび付いた工場地帯)に位置するミシガン州デトロイト郊外で、政権発足100日目を記念したラリーを行った。
トランプ氏は1時間半に及ぶ演説の中で、「米国史上のどの政権よりも成功した最初の100日だった」と指摘。自動車産業の労働者からの支持に感謝し、関税政策によって「企業はミシガン州に戻り、再び車をつくりたがっている」「中国を第一に考えるのではなく、ミシガンを第一に、そしてアメリカを第一に考えている」などと訴えた。

会場には「ゴールデン・エイジ」という文字が大きく表示されていた(画像はRSBNのYouTubeより)。
「第二次トランプ政権100日」の評価については、主流メディアのほぼ全てはトランプ氏に批判的だ。ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどの主要メディアは、伝統的に民主党支持媒体。この数十年、大統領選では必ず、民主党候補者への支持を公式に発表してきたので、当然予想されたことでもあり、明らかに意図的に低い支持率調査を引用し(アメリカは主要世論調査だけで30種類以上あり、数値が大幅に異なる)、特に関税政策に関して批判をする傾向が強い(関連記事:「トランプ政権発足100日で、歴代最低の支持率を記録は本当か?」)。
しかし、アメリカでは、主流メディアを信頼する人は、3人に1人以下の「マイノリティ」である。昨年11月の大統領選前に、アマゾンの創業者でワシントン・ポストのオーナーでもあるジェフ・ベゾス氏が、直前のギャラップの世論調査で、メディアの信頼率が31%しかないことを知り(バイデン政権下で下がり続け史上最低値を記録)、長年の伝統を破って、民主党のハリス氏への支持を発表せず、全米に衝撃が走ったことは記憶に新しい。
彼は、その決断の直後(2024年10月28日)、ワシントン・ポストに「Hard Truth(厳しい現実)」と題して寄稿し、メディアへの信頼が地に落ちている現実を見据え、ワシントン・ポストを政治的に偏向させず、メディア本来の独立性を取り戻すと宣言し、信頼度を上げようとした。
主流メディアで報道されないアメリカ有権者の声
一方で、大統領選でトランプに投票した有権者(7730万人。投票者全体の50%)は、ほぼ全員が、トランプ氏の政策に肯定的だ。非難が集中していると報道されている関税政策についても、「対中政策として重要」、「短期的痛みは伴うが長期的には有益」と考えている人が大半だ(4月27日付ロイター通信など)。またトランプ関税政策の効果として、アップルやIBM、NVIDIA(エヌビディア)、TSMC、ジョンソン&ジョンソンなどの大企業が、次々にアメリカ国内への巨額の投資を発表。中長期でアメリカ国内での雇用や産業の創出につながると見込まれるため、「トランプ効果」(Trump effect)と呼ばれている。
また、バイデン政権の4年間、アメリカ人にとって、最大の問題とされた不法移民対策では、党派を問わずトランプ氏への支持は高い状態が続いている。4月17日に、トランプ批判が強いCNNのニュースでも、56%の有権者が不法移民の強制送還に賛成している世論調査結果と共に、移民問題に関して国が正しい方向に向かっていると答えた有権者は、昨年12月(トランプ氏就任前)では、わずか14%(間違った方向と答えたのは62%)だったのに対し、今年4月では、45%に急増したことを(間違った方向と答えたのは42%)、驚きとともに報道した。
