菅直人首相は相も変わらず、1・5次補正予算や内閣改造など“奇手”を繰り出して1日でも長く延命しようとしている。

一方で「ポスト菅」の動きは止められない。仙谷由人官房副長官ら民主党の現執行部を中心とするグループは、なお野田佳彦財務相を担いで突っ走ろうとしているが、それに対抗する勢力も動きを強めている。

超党派議員連盟の「増税によらない復興財源を求める会」が16日、震災復興対策について、増税によらず、復興債を発行し、日銀による全額買い切りによって財源を確保すべきだとする声明を出した。ここには民主、自民、みんなの各党など衆参両院議員約210人が署名している。署名には、西岡武夫参院議長、自民党の森喜朗、安倍晋三両元首相、民主党の小沢一郎元代表の側近の山岡賢次副代表、みんなの党の渡辺喜美代表らが加わった。

復興財源として消費税や所得税などの増税を目論む民主党現執行部のグループに「NO」を突きつけた格好だ。

「ポスト菅」の政局は、増税強行グループと、増税阻止グループの対決色が鮮明となった。ただ、増税阻止の側が誰を担ぐのかは定かではない。小沢氏らが菅首相のウソにだまされて求心力を落とし、民主党内に有力候補が見つからないためだ。

政策として見れば、増税阻止グループが主張する日銀引き受けやインフレターゲットが日本の復興にとって必要なものなので、このグループを応援したいところだが、もう少し若手で「顔」となる人材の登場が待望される。(織)