日本感染症学会、日本呼吸器学会、日本ワクチン学会がこのほど連名で、「高齢者のコロナワクチン定期接種を強く推奨する」とする見解を公表しました。

コロナワクチンの有効性・安全性を列挙する「見解」

見解では、コロナパンデミックにおいてワクチンは「発症・重症化予防に高い効果を示し、感染防止に大きく貢献しました」と強調。「わが国でも、新型コロナワクチンが導入されていなかったら、2021年2月から11月の期間の感染者数は報告数の13.5倍、死亡者数は6.4倍であと推定されています」と訴えています(*1)。

その上で、「10月から始まった新型コロナワクチンの定期接種の重要性について科学的な情報を提供し、接種の必要性を考える際の参考としていただく」として、「今冬の流行」に備え、接種を強く勧める理由を列挙しています。

まずは、高齢者のコロナ感染による重症化・死亡リスクは「インフルエンザ以上」であると主張。その上で、秋からの定期接種で用いられる製薬各社のワクチン5種類について、それぞれの"有効性"と"安全性"を、数ページにわたり記述しています。

(*1)この見解の根拠になった論文については、研究不正の可能性を排除できないとして告発している研究者もいることを、付記しておきます。

シェディング騒動も背景?

この見解を各メディアが報じる際、特に強調されているのが、製薬会社「Meiji Seika ファルマ」のいわゆるレプリコンワクチンに関して、「被接種者が周囲の人に感染させるリスク(シェディング)はありません」と書かれていることです。

レプリコンワクチンについては、「体内で毒性のあるタンパク質や遺伝情報が無限増殖する」「それが人から人へ感染・伝播(シェディング)する」という懸念が一部に広がっています。

中には「医療機関に、レプリコンワクチンの扱いを強く非難するような電話が続いて業務に支障が出た」「美容室などで接種者の入店を断る動きが出ている」といったケースもあり、「誤情報による混乱」という文脈で報じられるようになっています。

こうした中、「Meiji Seika ファルマ」が、シェディング説などを訴える学会や団体を名誉毀損で提訴したことも、物議を醸しています。

今回、3学会が見解を出した背景には、こうした事情も一部にあると見られます。

ワクチン(mRNA)薬害が十分伝えられないままの、同調圧力の再来に警戒を

"冬の感染症流行期"に向けて、高齢者施設などでワクチン接種を求める同調圧力や、ワクチンの有効性・安全性に疑問を呈する議論"全体"を、「デマ」として軽視・封殺する風潮が生まれないよう、最大限の警戒が必要です。