菅直人首相は12日に自然エネルギーの普及についての懇談会を行う。出席者は、環境ジャーナリストの枝広淳子氏をはじめ、孫正義ソフトバンク社長、サッカー日本代表の岡田武史前監督、音楽プロデューサーの小林武史氏、ミュージシャンの坂本龍一氏と「脱原発」派のオールスターズが並ぶ。

枝広氏は3月21日の朝日新聞のインタビューで「私たちの社会や政治、経済がいかに脆弱な基盤の上に成り立っているか。電力需要を減らし、自然エネルギーに転換していくことは可能だ。エネルギーも、使いたいだけ使うという考え方は変えていかねばならない」「不要な場所に深夜まで明かりが煌々(こうこう)とともるような、『余分な便利さ』の仕分けが今後必要になってくる」などと脱原発を主張。

孫社長は、原発から自然エネルギーへの転換を訴えて、太陽光や地熱、風力発電など自然エネルギーの利用について政策提言する「自然エネルギー財団」を4月に設立し、その記者会見で「我々は国策としての原子力発電推進、『原発は安全だ』というまやかしを、教育やマスメディアによって刷り込まれてきた」と述べている。

坂本氏は自身が中心となって開設した「アーティスツ・パワー」という団体において、2007年に柏崎刈羽原発の運転再開の反対署名を集める運動を行っており、今回の原発事故でもツイッターで「被ばくした小学生が病院で死亡した」というデマや「東電株を反原発派のみんなで買えば反原発の議案を提出して議決権を使うことができる」といった趣旨の呟きをRT(リツイート)して拡散している。

本誌や本欄でも度々訴えているように、原発は日本の発電量の3割を占めており、有力な新エネルギーが実用化するまでは「脱原発」という選択肢はありえない。電力の3割を失えば、生産も生活レベルも3割落ち、日本経済はもはや転落の一途をたどるしかなく、すでに、各電力会社が節電を検討するなかで、国外脱出を図る企業も出てきている。「菅督」には貧乏神オールスターズともども退場願いたい。(吉)