《ニュース》

トランプ元米大統領と米実業家のイーロン・マスク氏が12日、X(旧ツイッター)上で対談し、不法移民やインフレ問題、エネルギー政策など多岐にわたるテーマについて議論しました。

《詳細》

今回の対談は「決断しようとしているオープンマインドの無党派層を狙ったもの」(マスク氏)で、Xでライブ配信され130万人以上が視聴しました(総再生回数は約10億回)。技術的トラブルにより配信が40分程度遅れたものの、対談は約2時間にわたり行われました。

トランプ氏はまず不法移民問題に触れ、バイデン政権下で不法移民が「『アメリカの歴史上最悪の数字』を記録しており、その多くが刑務所や精神病院から来る人たちや、テロリストだ」と指摘。国境の移民管理の責任者に任命されていたカマラ・ハリス副大統領に対し、「アメリカとメキシコの国境を閉鎖できたはずだ」と非難しました。

アメリカ国民を苦しめているインフレについて、マスク氏は「インフレは政府の過剰支出から生じる」「政府支出の問題を解決できれば、インフレも解決し、人々の生活水準が向上することになる」と指摘。トランプ氏も、「4~5年前、人々はたくさんのお金を貯めていた。しかし今は、生活のためにそのお金を使い、借金をしている」と主張し、ウクライナ戦争や中東戦争が起きていなければ物価はもっと低かったとも示唆しました。

トランプ氏は、北朝鮮の金正恩総書記、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席にも言及。「彼らはタフで、賢く、残忍だ」とし、ハリス氏は彼らに対抗できるだけの力量を持っていないと指摘。また、バイデン氏が「ウクライナがNATO加盟国になる可能性がある」と発言しなければ、プーチン氏はウクライナに介入しなかっただろう、とも述べました。

さらにトランプ氏は、アメリカは民主党指導下で「非常に危険な場所になりつつある」と述べ、「サンフランシスコの極左リベラル」であるハリス氏の下で、さらに事態が悪化する可能性があると警告しました。民主党の副大統領候補であるティム・ウォルツ氏についても、「ミネソタ州知事として、男子トイレに生理用品を置くことを承認し、法案に署名した」と言及。ハリス・ウォルツ両氏を「極左の狂人」と厳しく非難しました。

エネルギー政策については、福島の原発事故を念頭に「3000年は土地に戻れないと言われている」と発言し、マスク氏が「そんなにひどくはない」と反論する場面も見られ、多くの日本メディアはトランプ氏を非難しています。ただ、トランプ氏は原発の話に入る前に、世界で核保有が進んでいることを危惧し、気候変動より差し迫った問題だと指摘していました。「核拡散や核戦争を望まないのなら、強いアメリカ大統領が必要だ」という趣旨こそ、同氏が主張したかったことだったと思われます。

《どう見るか》