2010年も自殺者が3万人を超えてしまった。

10日の閣議で決定された平成23年度版自殺対策白書によると、昨年の自殺者は3万1690人(警察庁統計)。3万2000人を下回ったのは9年ぶりだが、13年連続で3万人を超え、依然高止まりの状況が続いている。

職業別では62%が無職。年齢・性別では約4割が40代~60代の男性だった。動機別では、健康問題(1万5802人)が最多で、経済・生活問題(7438人)が続いた。

今回改めて注目したいのは、自殺が急増したのは1998年で、97年まで2万人台で推移していたのが、突然1万人近くも増え、3万人の大台に乗ったという事実だ。

97年から98年にかけて一体何かあったのか。思い当たるのは、消費税が3%から5%に増税された年が97年であり、その年末に三洋証券、山一証券、北海道拓殖銀行と大手金融機関が次々と破綻したということである。

現在に至る深刻なデフレ不況はこの年から本格化しており、動機別の自殺者数の推移を見ると、98年を境に「経済・生活問題」で自殺した人の数が急増している。

つまり、消費税増税をきっかけにして始まった97年以降の不況が、明らかに自殺急増の大きな原因の一つになっているのだ。まさに消費税こそ「悪魔の税制」だ。

今また、菅政権は消費税の増税を目論んでいる。この不況で増税すれば、再び「万」単位で自殺者が跳ね上がる可能性がある。その時に、誰がどう責任を取るのか。

毎年、東日本大震災の死者・行方不明者を超える自殺者が出ているという現状を、政府は重く受け止めなければならないだろう。(村)