2024年7月号記事

忍び寄る大恐慌

私たちの周りには、実は世紀末的現象があふれ返っている。


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忍び寄る大恐慌 - Part 3 中国経済の自壊と地方の群雄割拠


シナリオ3

中国経済の自壊と地方の群雄割拠

台湾有事のリスクが高まるにつれ、半導体産業を中心に脱中国の動きが加速している。だが日本に経済的大混乱(大恐慌)が襲うリスクという面では、有事とは無関係なシナリオも存在する。それは、「中国経済の自壊」だ。


GDPの3割を占める不動産バブルが崩壊中

その前触れと指摘する声が増えているのが、中国を世界第2位の経済大国に牽引してきた不動産の「バブル」が崩壊に向かっていることである。

共産主義国家の中国では、土地は政府の所有物だが、1990年代より「土地の使用権を売買」することが認められ、不動産業が活況を呈した。GDPの3割程度、固定資産投資(設備投資)の約4割、国民の資産運用の6割を占めるほどの重要な産業として発展を遂げる。

だがその反面、不動産価格が右肩上がりに上昇したのをよいことに、銀行からの多額の借り入れや社債の発行などで、不動産全体では実に1千兆円の債務を築く"負の成長"という側面があった。

問題視した習近平政権は2020年に「家は住むためのものであり、投機対象ではない」と規制。すると不動産価格が下落に転じるなど、産業の勢いが完全に失速した。不動産大手の恒大集団は約48兆円の債務を抱え、約11兆7千億円もの売上の水増しが発覚。大手上位100社の24年1~2月までの住宅販売額も、23年の同時期よりマイナス51.6%と半減している。

さらに不動産に投資する多数の国民も大損し、例えば、河北省に住む王静さんは7千万円以上の価値がある優良物件を約2千万円で売ることを余儀なくされたという(*)。

(*)2024年5月5日付ビジョンタイムズ・ジャパン

 

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