大阪の駅前が熱い。

JR大阪駅北側の新しい駅ビル、ノースゲートビルの「JR大阪三越伊勢丹」と専門店街「ルクア」が開業1カ月で来店客数が1000万人を突破し、約1020万人となった(JR大阪三越伊勢丹480万人、ルクア540万人)。売上は86億円に達した。

JR大阪駅は、今年3月には駅の南側の既存ビルを増床した「サウスゲートビル」が開業、テナントの大丸梅田店が売り場を拡大していた。4月には、ホーム上空に東西180メートル、南北100メートルの巨大ドーム屋根と、南北をつなぐ橋上駅舎や連絡通路を設置。そこに5月の「ノースゲートビル」の開業で、南北の駅ビルで構成される「大阪ステーションシティ」が全面オープンすることになり、大阪経済復活の起爆剤として期待されていた。

さらに、来年には阪急の梅田本店が大幅に増床して(建替え前の1.4倍)再オープンする予定となっている。

わずか1年前後の間に大阪の駅前の景観が一変するわけで、改めて「駅前」の価値が再発見されつつある。

その背景にあるのは、2002年春に制定された都市再生特別措置法だ。アナリストの増田悦佐氏は、その著書『大阪経済大復活』で、その意義を次のように記している。

1)同法に基づく都市再生特区計画の場合、容積率や建蔽率などの建築規制が棚上げにできるようになり、極端な話、容積率2000%でも3000%でも可能になった。

2)これまでは頭数ベースで地主及び地権者の90%以上の合意がないと、再開発組合の設立はできなかったが、同法によって、頭数ではなく面積ベースで3分の2以上の合意があれば、再開発組合が設立できることになった。

3)再開発許可の申請を受けた自治体は、半年以内に許可するか否かを決定しなければならなくなった。

以上の規制緩和により、従来なら20~30年かかるのが常識だった大胆な都市計画がわずか3年から10年でできるようになったわけだ。

現在の大阪駅周辺の賑わいは、実は小泉改革の規制緩和の恩恵であることを確認しておきたい。(村)