「外資系コンサルタント会社では、企画書や資料をつくる時、最初からパソコンを開くなと指導される」

「プログラマーでさえ、一流はまず紙の上で構想をまとめてからコードを書く」

アナログを活用した仕事が、デジタル頼みよりも「強力」で、結局早い──そのことは、多くのプロフェッショナルが体験的に語っている。本誌2024年1月号記事「ひらめきは『手書き』に降りる アナログ最強説」では、意外と語られないそのメカニズムに迫っている(関連記事参照)。

本欄では、そこに盛り込めなかった重要論点を一部、紹介したい。今回は「パソコン仕事は"枝葉思考"に陥りがち」という特性について。

ワープロ執筆の方が"遅い"という実験結果!?

記事を書く仕事をする人間として、少しドキッとした実験結果がある。

アメリカの研究者が行ったもので、大学生や大学の教官に「ワープロ」か「手書き」で手紙を書いてもらい、パフォーマンスを比較するというものだ。

その結果、紙とペンで書くよりも、ワープロで書いた方が、文章が33.6%長くなった。かつ、かかった時間も20.5%多かった。文章の質はどうかというと、評価者が内容と表現のそれぞれを4段階評価したが、両者に違いはなかった(*1)。

もちろん、物の性質によるだろうが、ここではデジタルで書いた方が「冗長」で、時間当たりの「生産性も低かった」ことになる。

一体なぜか。そこにテーマの「パソコン仕事は"枝葉思考"に陥りがち」という性質が関わって来る。