米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が30日、東京電力の長期会社格付けを5段階引き下げた。現在の「BBB」が投資不適格の「Bプラス」になる。これは全21段階中の14番目。

注目すべきは、取引銀行から債権放棄や既存融資の金利減免などの金融支援を受ける可能性があることが、引き下げの理由になったことだ。つまり、13日の枝野幸男官房長官が東電の取引銀行に「債権放棄」を迫ったことが影響したわけだ。

S&Pの格付け自体は、そう重く受け止める必要はないにしても、それを各紙が報じれば、不安は否が応でも高まってしまう。後に発言を撤回したとは言え、政府の官房長官の立場にある者が、東電の資金調達に関して、市場の不安を増幅させた責任は大きい。

その背景には、菅政権の、原発事故の責任を東電に押し付けたいという意識があるのではないだろうか。だとしたら、この危機の時代に政権を担う資格はない。(村)

※現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。近日中に有料購読に移行予定です。

【5月31日分ニュースクリップ一覧】
中国、南シナ海でベトナム船に実力行使
月面に大量の水が存在?
「15メートルの津波で炉心損傷の可能性100%」は想定内だった
枝野発言の影響で、S&Pが東電を格下げ
日本は「渇く中国」といかに共存するか?
「過剰な対中配慮を改め、日台関係強化を」米安全保障コンサルタント
韓国の対北強硬姿勢に批判の声 されど日米韓は結束を高めよ