2023年6月号記事
大恐慌の足音が聞こえる?
米国発金融危機はあるのか
3月に起きた相次ぐ銀行破綻。一端収束を見せたものの、危機の予兆に過ぎなかった可能性もある──。
今後の行方を探った。
今年3月、世界を揺るがした銀行破綻。資産規模で全米16位のシリコンバレーバンク(SVB)、29位のシグネチャー・バンクが破綻し、ファースト・リパブリック・バンク(FRC)も株価が急落。米金融大手11社はFRCに約300億ドル(約4兆円)を無保険で預金し、信用不安を抑えにかかった。
この救済劇の中心人物となったのは、米金融大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)。イエレン米財務長官とダイモン氏とが協議し、他の大手行の協力を取り付けた。
税金での救済や増資を伴わずに同行は、資金繰りを保つ命綱を得たのだ。
銀行危機は終わっていない
そのダイモン氏が4月4日、年次報告書に添えた株主への手紙で「危機はまだ終わっていない。危機が終わった後も影響は何年も続く」と指摘。「市場が見込む景気後退の確率は高まっている。2008年の金融危機とは異なるが、現在の危機がいつ終わるかは分からない」と述べ、警戒感を露わにした。
国際通貨基金(IMF)が4月に発表した試算では、中堅銀行が保有債券の含み損を損失処理した場合、1割弱が資本不足に陥ると分析。
「預金保護の対象ではない預金の半分が引き出されたら破綻する銀行が186行ある」と指摘するコロンビア大学の研究結果もある。
こうした中、アメリカ人の景況感は低下し続けている。約75%は不況が到来することを心配していると答え、69%が不況に陥ると考えている。そして不況になれば全てを失うと答えた人は、過半数(55%)を超えた(*1)。
(*1)Real Estate Witchの調査。
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