《ニュース》

LGBTの人々に対して性的指向や性自認を変更しようとして行う「転向療法」が法律で禁止されている地中海の国・マルタ共和国で、キリスト教の信仰を持ち同性愛から転向した体験を語った男性が、転向療法の禁止に違反したとして起訴されました。

6月の裁判で有罪となれば、最大5000ユーロ(約71万円)の罰金または最大5カ月の懲役が科せられることになります。

《詳細》

欧米諸国では以前まで、同性愛や性別不適合は「精神障害」であるとして、電気ショック療法や会話療法、催眠療法、断食療法などが行われてきましたが、近年見直しが進められ、2016年にはマルタ共和国がEU諸国では初めて、LGBTからの転向療法の実施や促進、宣伝行為を犯罪として禁止しました。その後、カナダやフランス、アメリカの一部州などでも禁止されています。

今回起訴された元同性愛者のマシュー・グレック氏は、問題になったインタビューの冒頭で「私は転向療法を受けていないし、賛同もしない」と言及。その上で小さい頃からの経験を語りました。

グレック氏は幼少時、周囲の男子と興味や趣味が違っていたといい、「ゲイだ」とからかわれることもあったと言います。成長した後に女性と付き合っても性的な魅力を感じず、試しに男性と付き合ったところ、心地よさを感じたというのです。

その後、キリスト教の信仰を持つようになると、聖書の中では「同性愛者」であるということが、今日のように「個性」であると扱われてはいないことを深く考えるようになったといいます。そして、神の目から見れば、同性愛行為は他の罪と同じで、悔い改めや神の許しを請い、それを乗り越えるために強くなれるよう神に願う必要があると分かったと、キリスト教徒の立場から語っていました。

グレック氏にインタビューを行ったジャーナリスト2人も、今回「同性愛者への転向療法を宣伝した」として起訴されています。そのうちの1人であるマリオ・カミレリ氏は、「多くの点でグレッグ氏に同意しない点もあるが、彼には話す自由があり、私はその権利を擁護する」として「マルタは北朝鮮になり、独裁国家になるのだろうか? 私たちはただ、言論の自由が保障されてほしいだけだ」とコメントしています。

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