《ニュース》

ツイッター社が2020年の米大統領選前に、ジョー・バイデン候補(現・大統領)の息子ハンター氏のスキャンダルを検閲した問題をめぐり、検閲には非常に政治的な判断がなされていたこと、さらには同社が日常的に民主党陣営の指示を受けて検閲行為を行っていたことが明らかになり、アメリカで議論が沸騰しています。

ツイッターの最高経営責任者(CEO)に就任したイーロン・マスク氏が、外部のジャーナリスト、マット・タイービ氏に調査を依頼する形で内部文書を公表し、明らかになりました。一連の内部文書は「ツイッター・ファイル」と呼ばれ、各メディアが報じています。

《詳細》

大統領選前を目前に控えた2020年10月、米ニューヨーク・ポスト紙は、修理店に放置されていたハンター氏のノートパソコン内データから明らかになった「汚職疑惑」をスクープ。しかしツイッター社とフェイスブック社が、同記事をユーザーが共有できないようブロック措置を講じました。

当時のホワイトハウス報道官ケイリー・マケナニー氏が、ニューヨーク・ポストの記事をツイッターでシェアした結果、アカウントを凍結されるなど、大規模な検閲行為が行われました。

ハンター氏のスキャンダルをめぐっては、民主党陣営やリベラル・メディアは当時、"ロシアによる偽情報"などと主張し、信ぴょう性を完全否定しました。ところがニューヨーク・タイムズ紙は今年3月、ハンター氏のノートパソコンおよびその電子メールが本物だったと認め、スキャンダルが否定できない事実であったことが明らかになっています。

この度公開された「ツイッター・ファイル」により、一連の検閲行為に関して、ツイッターによる判断が不当であったことに加え、同社が民主党全国委員会(DNC)から日常的にアカウント等の削除要請を受け、実行していたことが判明しました。

ツイッター社は2020年10月当時、ポスト紙の記事が"ハッキングされた資料"に基づいているとし、同社のポリシーに反すると検閲しました。タイービ氏によれば、ポスト紙による記事への検閲は「ジャック・ドーシーCEO(当時)の知らないところで」、最高役員レベルで行われたとのことです。

しかし、スクープの元になったハンター氏のパソコンは修理店に放置されていたもの。ハッキングされたという論理には無理がありました。ツイッター社内でも、多くの人がその論理は通用しないと気づいていたものの、誰もそれを覆す勇気がなかったといいます。

タイービ氏によれば、次席法務顧問を務めていたジム・ベイカー氏(元FBIの法務顧問)は、「(ポスト紙の)資料がハッキングされたかどうかを評価するには、もっと事実が必要だという結論を支持する」とするも、「ハッキングされたかもしれないと仮定するのは妥当であり、そうした注意は正当である」と語ったといいます。

一連の情報から、検閲を正当化する理由にそもそも無理があり、極めて政治的判断が行われていたことが明らかになったと言えます。

ベイカー氏がポスト紙への検閲に関わっていた可能性を受け、マスク氏は12月7日、ベイカー氏を解任したとツイートしました。タイービ氏によれば、ツイッター・ファイルをめぐっても、ベイカー氏はマスク氏に知らせることなく、第一校を入念に審査していたとのことです。

ツイッター・ファイル公開にあたり、社内からも相当の反発があったことがうかがえます。

上記の判断の誤りに加え、今回のツイッター・ファイルによって、ツイッター社が民主党およびバイデン陣営から日常的に指示を受け、バイデン氏を批判するようなツイートを削除していたことが判明しています。

例えば2020年10月24日、いくつかのツイートをめぐる「バイデンチームからの再検討」の要請を受け、「対応しました」と返答がなされています。

政党を問わずツイートの削除要請をできたものの、タイービ氏は「このシステムはバランスがとれていなかった」と指摘。ツイッター社による政治献金が、異常なほど民主党に寄っていることに言及し、民主党により開かれていたと述べています。

実際、大統領選が行われた2020年、ツイッター社による政治献金の、実に98.47%が民主党に対してなされています。

一連の新事実を受け、全米で議論が沸騰し、ツイッター社およびバイデン政権、民主党陣営への批判が高まっています。

《どう見るか》