16日に枝野幸男官房長官が、東京電力の発電事業と送電事業の分離について「選択肢としてあり得る」と述べたのに続き、今度は菅首相も18日に、発送電の分離について「今後のエネルギー基本計画を考える上で議論すべきだ」と、検討を開始すると述べた。

16日付の本稿でも述べたように、発送電の分離は、電力の自由化に向けた重要なステップとなる。(参考) http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=1981

今回の震災で明らかになった日本の電力網の問題点は数多くあるが、そのうちの一つは、大手電力会社の地域独占体制にある。地域において一つの電力会社が事実上独占することによって、電力会社間の電力の融通が妨げられ、新規業者の参入も妨げられてきたことから、電力供給面とコスト面で大きな無駄が発生していた。

菅政権の狙いは、東電の損害賠償の原資として、送配電網を売りたいだけかもしれないが、分離策は自由化によって市場原理が導入され、業界の活性化が期待できる。

また、菅首相は同日、定期点検中の原発について、「安全が確認されたものは稼動を認める」と発言。いつものことだが、次第にコメントが現実的なものに変化しつつある。

あとは各電力会社がマスコミや地元の反発を恐れて、再稼動を「自粛」しないことを祈るばかりだ。(村)

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【5月19日分ニュースクリップ一覧】
震災失業10万人で菅政権の打つ手とは?
国家公務員給与削減は増税を狙ったパフォーマンス
中国と民主党政権の埋めがたい戦略性
東京一極集中は悪くない
枝野「債権放棄」発言に反論続々
菅首相も、「発送電分離」検討を明言