2020年10月にハンター疑惑をスクープ報道していたニューヨーク・ポスト紙が、米主要メディアのその後の対応を続報している。以下の記事は、ニューヨーク・タイムズ紙(以下、NYT紙)、CNN、ワシントン・ポスト紙が、続々と「地獄からのラップトップ」を本物であると認めながらも、バイデン大統領の関与については否定したことを報じている。つまり、主要メディアはハンター疑惑の存在を認める方針に転じたが、バイデン大統領の追及につながる側面については言及を避けているということだ。

日本のメディアでの米国政治報道は、民主党寄りのバイアスがあるNYT紙やワシントン・ポスト紙に依拠していることが多い。ところが、以下の記事のように、主要メディアの報道スタンスを鋭く批判するオピニオンからは、異なる視点からみた米国政治の実情を知ることができる。メディア・リテラシーの観点からも、示唆に富んだ内容といえるだろう。

(幸福の科学国際政治局長 藤井幹久)

ジョー・バイデンとハンターのラップトップの関係を、メディアは避けて通った(ニューヨーク・ポスト紙記事)

不思議なことは尽きないものだ。最初にNYT紙が、次にCNNが、そしてワシントン・ポスト紙が、ハンター・バイデンのラップトップを取り上げた。ニューヨーク・ポスト紙がこのスキャンダルを報道してからは、18カ月が経っていた。そして、2020年大統領選のためには、遅きに失したことだ。

私たちの記事は、ビッグテック企業からは検閲を受けた。また、民主党の嘘つきアダム・シフ議員や、ジョン・ブレナン元CIA長官に代表される51名の元スパイたちからは、「ロシアの偽情報工作」として否定された。しかし今では、ラップトップは本物であると認められている。私たちが報道したEメールのことも、事実であると確認された。

もちろん、そうしたメディアのすべては、ラップトップのなかにあった証拠から導き出される必然的な結論を避けて通っている。そのラップトップは、麻薬でいかれた大統領の息子ハンターが、2019年4月にデラウェア州のマックブックの修理店に捨て置いたものだった。つまり、副大統領だったジョー・バイデンは、弟ジム・バイデンやハンターが地位を利用して行っていた、腐敗した数百万ドル規模の国際的な取引のことを認識していたし、深く関与していた。そして、(そうした取引があった)ロシア、ウクライナ、中国について、オバマ政権での責任者を務めていたのがジョー・バイデンだった。ハンターのラップトップは、そうした驚くべき結論へとつながるジグソーパズルの大きな一片だ。

バイデンの関与を否定する主要メディア

ワシントン・ポスト紙やCNNは、CNNホワイトハウス担当記者のジョン・ハーウッドが述べたとおり、ラップトップの内容をもとにハンターが「父親の名前を利用して多額の資金を稼いでいた」と認めた。ところが、ジョー・バイデンの関与については、何もなかったことにしようと腐心している。ハーウッドは、「バイデン副大統領としても、バイデン大統領としても、ハンター・バイデンの行為との関係で不正を行ったとの証拠はまったくない」と語った。

ワシントン・ポスト紙は、「ジョー・バイデンが、中国のエネルギー企業CEFC(中国華信能源)社との取引で、個人的な利益を得ていたとか、その内容を知っていたとの証拠はない。そうした取引は、バイデンが副大統領を退任して以降、2020年大統領選に出馬表明するまでに行われていたものだ」と述べている。また、3月のNYT紙の記事は──(その記事中の)24番目の段落のなかで──ラップトップが本物であることを、遅まきながら認めていた。しかし、その記事は、はっきりと大統領の容疑を晴らしていたのではなく、ハンターがデラウェア州の大陪審で脱税、マネーロンダリング、外国代理人登録法違反などの容疑で起訴されたときの法的防御を述べていただけだった。

名だたるメディアは一年半にわたって、私たちの記事を軽蔑して無視してきた。しかし、追認するようになったのは、たしかに理由があることだ。ひとつの理由としては、ドナルド・トランプ大統領を退任させるとの当初の目標が、すでに達成されていることだ。ジョー・バイデンは不人気で、近衛兵団は消え去ろうとしている。バイデン家についての報道は、首都ワシントンでのディナーパーティへの招待には、さほどの支障ではなくなった。もうひとつの理由としては、デラウェア州の検察当局がハンターの調査を終結させるまで、何も知らせないわけにはいかないことだ。メディアに騙されていたとか、真相を隠されていたと、読者や視聴者に思われないようにしなければならない。

中国企業からの600万ドルの送金

しかし、ワシントン・ポスト紙が読者に伝えたのは、すべての真実でもなく、真実そのものでもなかった。ラップトップをめぐる全体で約7000ワードになる二本の詳細な記事では、なぜか重大な事実が省かれていた。メインの記事のタイトルは、「ハンター・バイデンの中国エネルギー企業との数百万ドルの取引の内幕: ワシントン・ポスト紙は重要な事実を確認して バイデン家と中国企業幹部との取引をめぐる新たな証拠を提示する」だ。この記事は、ハンター・バイデンと中国のエネルギー企業CEFC社との経済取引について記していたが、同社が、中国の「一帯一路構想」の一翼を担う企業であったことには言及していない。この構想は、習近平主席の肝いりの帝国主義的なプロジェクトで、途上国を多額の負債の罠に陥れて、経済力で米国を凌駕することを目指すものだ。

また、この記事は、CEFC社から600万ドルが、バイデン家の友人ロブ・ウォーカーの銀行口座に送金されていたことにも言及していない。ウォーカーはクリントン政権の元高官で、妻のベッツィ・マシー・ウォーカーは、ジル・バイデンが副大統領夫人だったときのアシスタントを務めていた。2017年2月23日と2017年3月1日に各300万ドルが、上海を本拠とするCEFC社の関連企業ステートエナジーHK社から、ロブ・ウォーカー宛てに送金されていた。こうした資金は、ジョー・バイデンが副大統領だったときの最後の二年間で、ハンターとビジネスパートナーたちがバイデンの名前を利用することで、ルーマニアからロシアまでの国々でCEFC社のための案件を獲得した報酬として支払われたものだ。

バイデン関与を暴露していた人物

ワシントン・ポスト紙は、シノホーク・ホールディングス社についても言及していない。同社は、2017年5月15日にハンターほかのビジネスパートナーとCEFC社との合弁企業として設立された。これが、ジョー・バイデンに10パーセントの取り分とされた案件だ。ラップトップにあった2017年のEメールのなかでは、「H(ハンター)が保有する10(パーセント)は、偉い人のために」と記されていた。

ハンターの元ビジネスパートナーで、シノホーク社のCEOだったトニー・ボブリンスキは、「偉い人」とはジョー・バイデンのことだと、公の場で述べていた。しかし、ワシントン・ポスト紙は、なぜかボブリンスキのことにも言及していない。ボブリンスキの名前は、ラップトップのなかのCEFC社に関するEメールや文書の至るところにある。また、この退役海軍軍人(ボブリンスキ)は、2020年10月の記者会見でバイデン家の秘密を暴露していた。

ボブリンスキが、2017年にジョー・バイデンと二度にわたり面会していたことも言及されていない。この面会で(ボブリンスキは)シノホーク社のCEOに検討されていた。ワシントン・ポスト紙は、2021年6月にはハンターのラップトップのハードドライブのコピーを取得していた。そのことを考えると、ジョー・バイデンの役割を目立たせないように、こうした事実を省いているのは不思議なことだ。

メディアの隠蔽工作がバイデンを当選させた

ウィスコンシン州選出のロン・ジョンソン上院議員は、「不利になる報道を抑圧したことで、メディアがジョー・バイデンを当選させた共犯者だったことは明らかだ」と述べている。ジョンソン上院議員はアイオワ州選出のチャック・グラスリー上院議員と共に、ハンター・バイデンの調査に取り組んだが、民主党からは「ロシアの偽情報工作」を広めたとして非難された。ジョンソン上院議員は、「ワシントン・ポスト紙の記事は、かつてニクソンのアドバイザーたちが『限られたかたちでの公表』と称したものだ」と述べている。ここで使われたフレーズは、隠されていた情報の一部を公表することによって、より重大な事実を隠し通すことを意味している。

バイデンをめぐるジグソーパズルのもうひとつの一片は、ジョンソン上院議員とグラスリー上院議員が、銀行から財務省に提出される「不審行為報告書」という機密情報にアクセスして行った調査だ。その結果として、中国、ロシア、ウクライナ、カザフスタンから、ハンター、ジム・バイデン、ビジネスパートナーたちに関係する口座に支払われた数百万ドルの資金が突き止められた。しかし、ジョンソン上院議員は、民主党によって調査は妨害されたと述べている。虚偽のFBI情報が仕掛けられて、メディアにリークされたことによって、ハンターやビジネスパートナーらの証人の召喚については疑問が投げかけられた。

さらに、同じく共和党の委員会メンバーたちからの妨害もあった。共和党に権力があったときだが、ジョンソン上院議員が必要としていた証人を召喚することはできなかった。ジョンソン上院議員は、そうした人たちの名前を挙げてはいない。しかし、共和党のミット・ロムニー上院議員とロブ・ポートマン上院議員が、「政治的」な召喚だとして反対したとされる。ジョンソン上院議員とグラスリー上院議員は、今では正しかったことが証明されている。しかし、自分たちの陣営からの支持が得られていたとしたら、異なる歴史が生まれていたことだろう。おそらく現在、ジョー・バイデンは大統領にはなっていなかったはずだ。

(ニューヨーク・ポスト紙3月30日に掲載)

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