ビンラディン殺害後もテロとの戦いの継続が予測されるが、アメリカの政策は具体的にどのような影響を受けるだろうか。2日付のCNN.comへの寄稿では、外交問題評議会副会長のジェームス・リンゼー氏が7つの質問に答える形で今後の見通しについて以下のように述べている。

・アルカイダを名乗るテロは、各地の独立した「提携組織」によって行われており、ビンラディン氏の死によってテロ活動が停滞することはないだろう。

・ビンラディン氏はアルカイダのシンボルであって、殺害後も生前と変わらずに、テロリストを惹きつけるシンボルであり続けるだろう。

・今後も、側近だったアイマン・アル・ザワヒリなどが、実力のあるテロリストとして、テロ活動の計画などを続けることになるだろう。

・アメリカとパキスタンとの関係は悪化するかもしれない。ビンラディン氏の潜伏場所はパキスタン首都のイスラマバードから程近い場所で、パキスタン政府の非協力への批判と同盟関係の価値を疑問視する声が今後さらに聞かれるだろう。

・オバマ政権が米軍のアフガン撤退を加速させる可能性が出てきた。オバマ大統領はアルカイダの撃滅をアフガン戦争の理由にしてきたため、ビンラディン氏の死によって作戦成功を宣言することもできる。

・オバマ政権の支持率は短期的には上昇するかもしれないが、長くは続かないだろう。

・ビンラディン氏殺害には党派を超えて喜びの声が上がったが、両党の融和は長く続かないだろう。

外交政策面では、特にアフガン撤退の行方が注目される。米軍は今年中に撤退を開始し、2014年までに全軍の引き上げを予定しており、撤退後の枠組みについてはアフガン政府とタリバンとの間での和平工作が進められている。撤退の可否とペースについては議論があったが、リンゼー氏の指摘通り、今回のビンラディン氏の死によって「名誉ある撤退」の体裁が整う可能性もある。

アフガンでの戦いは10年近くにわたっており、「何をもって終わりにするのか」という政策目標が見えなくなってきていた。幸福の科学の大川隆法総裁は『教育の法』の中で、

「『いったい、どこまで攻撃をしたら、アメリカのフェアネス(公平さ)は担保されるのか。ワールドトレードセンタービルを攻撃されたことに対する報復として、正当な攻撃はどこまでであるのか』ということは、やはり、検証されているとは言えません」と指摘し、「『正当な攻撃は、このへんまでである』という判断の部分が足りないように思えます」と述べている。

ビンラディン氏殺害の報を受けて、ワシントンを中心に祝賀ムードが広がったが、これを機にアメリカは矛を収めることになるのか、注目されるところである。

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