松本剛明外相が29日(日本時間30日)、訪米先のワシントンで国務省のクリントン長官と会談した。しかし、延期続きの外務・防衛担当官僚による「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」の日程も決められず、6月下旬で調整している菅首相の訪米について具体的な協議にも踏み込めずに終わった。
実りのない外交となった最大の理由は、菅政権が、米軍普天間基地の移設問題について沖縄県に配慮しているためである。
昨日のニュースクリップでも紹介したように、政府は「辺野古にV字の滑走路を建設する」方針を固めたが、沖縄県を説得するのはこれから。今回の会議に参加予定だった北沢防衛相は、震災への対応を理由に訪米を中止したが、「背景には、会議に出れば、進展していない沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題に触れざるを得ず、沖縄県との間に新たな摩擦を呼ぶのでは、との懸念があったとされる」(1日付読売新聞)。「県外移設」を再燃させた民主党政権が、自らの誤った言動によって手足を縛られている。
会談はたったの35分間で、クリントン長官は松本外相とほとんど目も合わせず、会見後に握手さえ求めなかった。菅政権の存続自体に疑問を抱き、距離を置こうとしているのかもしれない。
菅政権は一刻も早く「地域主権」の発想を捨て、中央政府の責任で普天間基地の「辺野古移設」「V字滑走」を実現すべきだ。それが日本国民の安全を守る最も適切な選択であり、米国の信頼を取り戻すことにもつながる。(格)
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