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米テキサス州で施行された、妊娠6週以降の人工中絶を禁止する州法を巡り、全米で激しい議論が続いています。

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1日に発効した同法は「ハートビート(心臓音)法」とも呼ばれ、胎児の心拍が確認されるとされる妊娠6週以降の人工中絶をほぼ全面的に禁じるものです。母体に危険が及ぶ以外は、強姦や近親相姦による妊娠についても例外として認めないため、全米で最も厳しい中絶制限法だと言われています。

また同法の特徴として、中絶を求める当事者やその家族、支援する医療関係者、さらには、友人など中絶に協力したあらゆる人を対象に、全く関係のない一般市民が提訴する権利を認めたという点が挙げられます。

アメリカ人であれば誰でも民事訴訟を起こすことができ、告発者が勝訴した場合には、少なくとも1万ドル(約110万円)が与えられるとのことです。これを受けてリベラル派は、賞金稼ぎ的な嘘の告発が多発する可能性があると批判しています。

州法施行に先立ち、中絶擁護派の団体などが最高裁に差し止めを要求していました。これに対して最高裁は1日、同法の合憲性についての判断は避けながらも、施行を5対4で認め、差し止め要求を棄却。同日、テキサス州で施行される運びとなりました。

一方で、以前から中絶擁護派であったジョー・バイデン大統領は、同法に強い懸念を表明。司法省を中心として、同法への対抗策を検討するとしています。

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