「人生100年時代」を生ききるには、何を心がけるべきか。82歳の時に新たに出版社を立ち上げるなど、エイジレスに活躍している人生の先輩に聞いた(2019年9月号記事より再掲。内容や肩書きなどは当時のもの)。

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株式会社ウーマンウエーブ 代表取締役会長
株式会社きずな出版 代表取締役社長

櫻井 秀勲

プロフィール
(さくらい・ひでのり) 1931年、東京都生まれ。東京外国語大学を卒業後、光文社に入社。小説家担当の編集者を経て、女性週刊誌「女性自身」編集長。55歳で独立し、作家デビュー。近著に『60歳からの後悔しない生き方』(きずな出版)など。

──88歳と89歳の祖母がいるのですが、失礼ながら、同じお年の櫻井先生が、執筆もされて、出版社の社長もされていらっしゃることに、とても驚きまして。こう生きるにはどうすればいいのだろうという率直な疑問があります。

櫻井氏(以下、櫻): 私が講演の最初に「88歳だ」と言うだけで、みんな大きな拍手をしてくれます(笑)。私は、今でも現役時代の生活を崩していません。5時間睡眠と言うと驚かれますが、勉強があるから寝ていられないんです。勉強すると、面白いから興奮する。まだやっていきたいと思うから、死ねない。全てうまく絡んでいくんですよね。だから、自分が培ってきた生活リズムを変えないことが大事です。

逆に言うと、人生の早いうちから、自分に合った生き方を見つけることです。それに私は、「自分は長生きするだろうな」と分かっていたんです。家系もそうだし、人を相手に仕事をしているので、自分自身が活性化してくるのが分かりますから。みんなに生かされているから死ぬわけがないとも思っていますけどね(笑)。あなたも長生きするんじゃない?

──正直、考えたこともなかったです。ただ、夢や志があっても、あっという間に時間が経ってしまうのではないかと……。

櫻: 何かをやり通した人には、「志」があります。例えば幕末の志士は、志半ばで殺されてしまった人を除けば、たいてい長生きしてるんですよね。それは、「志」に行動が伴っているからです。目指していることがあっても、行動していなければ、それは「志」とは言えないでしょう。だから、どんなに危ない橋を渡ろうとも、いったん「志」を立てたからには、「実行」することが大事。たとえ、「実現」できなくても。

人生の目的を決める

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櫻: 何を目的にするかで、人生における成功が違ってきますよね。一度に何でもできませんから。自分が何を取るかを決めて、そのための努力目標を早く立てた方がよいでしょう。今はお金が全てだという人生観の方も結構多いですね。別にそれが悪いというわけではない。でも私は、あの世にたくさんお金を持ってったってしょうがないんじゃないかと。だから、82歳の時に出版社を立ち上げました。仕事を通して「なんとかして若い人たちを一人前にしてやろう」という目標ができて、責任感が増しました。

中には環境を言い訳にする人もいますが、だったら、言い訳の理由になっていることをやめちゃえばいいと思います。優先順位をどうつけるかによって、考え方、行動が変わってきます。

──人生を重ねていくということは、より重い責任を負えるようになることでもあるんですね。

櫻: 私は、戦争で生き抜いたというのがやっぱり一つの自信になってるんですね。食べなくても生きていけるっていう。現実にそうでしたからね。だから、一人前の人間になるためには、ある程度苦しい経験をして、失敗することも必要だと思います。後で必ずプラスになりますから。

逆に、慢心しないためには、年上の人と付き合うことです。私は30代で編集長になってしまったので、大会社の社長クラスとお付き合いしなければいけなくなりました。人生の経験値が圧倒的に違うから、慢心どころかドキドキしちゃって、前の晩は寝られなかったですね。

──その意味では、若いころから人生観をしっかり持っておくことが大切になるんですね。

櫻: 私の場合は遠藤周作、川端康成、三島由紀夫などの作家と親交があったことが、人生観に大きく影響しています。しかも、そのうち何人かは自殺しているんです。だから、生と死について、20代からシビアに考えていました。

「人生100年時代」の心がけ

櫻: これからの「人生100年時代」では、人生を2つに分けて考えることをおすすめします。

第一の人生のピークは30代です。私が女性週刊誌の編集長に抜擢されたのは31歳の時でした。40代からがピークというのは、人生が80年だった時代の考え方です。

40代になると、第二の人生に向けて準備を始めていく感じになります。50代からが第二の人生とすると、次のピークは70代でしょう。実は私が一番たくさん本を書いたのも70代でした。

仮に、第一の人生がうまくいかなかったとしても、第二の人生がそうとは限りません。何にしても積極的に取り組むと、人生とても楽しくなると思います。

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