2021年4月号記事
Divine Economics
サプライサイド経済学の父 ラッファー博士
コロナ禍で流行する
ケインズ経済学はなぜ問題なのか(中編)
Part 09 特別番外編
コロナ禍で景気浮揚策としてケインズ経済理論に基づく財政出動が進行中だ。
日本の政府債務は対GDPで258%と先進国の中でも群を抜いている。
前回に引き続きケインズ経済学の問題について語ってもらった。
(聞き手 長華子)
アーサー・B.ラッファー
1940年生まれ。イエール大学を卒業後、スタンフォード大学で博士号を取得。経済調査とコンサルティングのラッファー・アソシエーション会長。サプライサイド経済学の父。レーガノミクス、トランポノミクスを導いた。大統領選挙中よりトランプ氏の経済政策顧問を務める。著書に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』(幸福の科学出版)などがある。
──前回は、景気刺激策の「刺激」はないというところまでお話をいただきました。
ラッファー博士(以下、ラ): 今回は、続くケインズ経済学の"醜い"第3章についてお話ししましょう。
前回は受益者と支払いをする側とが相殺し合うため、スルツキー方程式の「所得効果」の総和がゼロになる。だから景気刺激策の「刺激」はゼロになるというお話をしましたね。これに対し、スルツキー方程式の「代替効果」はマイナスになります(詳しくは次ページコラム参照)。
ケインジアンが無視する負の側面
1974年に、私はウィスコンシン州選出のゲイロード・ネルソン上院議員がトップを務める上院の金融委員会の公聴会で証言する機会がありました。
私以外は、大変著名で故老のケインズ主義者の学者オットー・エクスタイン氏、ポール・マクラッケン氏、ガードナー・アクリー氏です。33歳の若輩者の私が彼らと証言する機会をいただき、わくわくしていました。
当時、ジェラルド・フォード大統領の税金の還付による政府支出で景気を刺激する政策は有効か否かが議論の焦点になっていました。
再分配しても「貧しさの平等」しか実現しない
政府が介入すべきものと、そうでないものとは
政府の処方箋は、税金を減らし、経済成長を創りだすこと