8日付の毎日、産経、東京の各紙が、震災後のイベントや消費に関する自粛ムードはむしろ日本全体の経済復興を妨げるという主旨の記事や社説を載せている。その中で産経は、神社が祭を中止する動きについて報じており、宗教的観点から考えさせられる。

同紙によると、例えば東京の浅草神社の「三社祭」と神田明神の「神田祭」は多くのみこしが練り歩く東京の代表的な祭で、いずれも5月に予定されていたが、「被災地に配慮すべきだ。お祭り騒ぎはすべきでない」として3月中に中止を決めたという。

だが、神社の祭はもともと御祭神の霊威を高めると共に、豊作や豊漁、商売繁盛、疫病の退散など、地域住民の息災と繁栄を神に祈る意味がある。であれば、日本全体が意気消沈しがちな今の時期こそ、神々の加護を祈り、人間たちも力を合わせて復興することを神に誓う意味で、祭を行うべきではないか。神社本庁の広報部も「被災地の復興を願う意味でも、神事は大いに行われるべきだ」と話しているという。

「お祭り騒ぎはよくない」とは、祭のそうした精神的・宗教的本義を理解していない言葉であり、祭を単なる世俗的なイベントと勘違いしているのではと思いたくなる。何事も形だけではなく、そこに込められた思いが大事だ。「浮かれ騒ぐのはいけない」という日常感覚で祭を中止するか、それとも被災地と日本全体の復興への祈りと誓いを込めて祭を行うか。各神社の宮司や氏子の本当の宗教心が問われているのかもしれない。(司)

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