激しい攻防が続くリビア情勢をめぐって、反体制派への武器供与など、次のステップが模索されている。その中で、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)研究員で、米陸軍士官学校(ウェスト・ポイント)元教授のフレデリック・ケーガン氏は、武器供与よりも、カダフィ側の重武器を攻撃するべきだと論じている(3日付米誌ウィークリー・スタンダード電子版)。

ケーガン氏によれば、NATO軍が容易に攻撃できないように、政府軍は支持者の人民にまぎれる形で戦っている。カダフィ大佐も多国籍軍側も相手の方が先に戦意を失うと考えており、状況は一種のチキン・ゲームとなっている。反体制派への武器供与がカダフィ側の戦意をくじくという見方も出ているが、戦闘拡大を理由とした中ロなどの反対が予想され、内戦長期化の懸念もある。

今取りうる最善の策は、政府軍の戦闘継続を可能にしている、ミサイル・ランチャーなどの重兵器を攻撃することである。この場合、攻撃のターゲットは政府軍の装備などに限られ、今以上に介入が拡大することはない。

反体制派の停戦提案を拒否したカダフィ大佐側は徹底抗戦の姿勢であり、状況の打開のためには、政府側の戦意を削ぐ次なる一手が必要であろう。

しかしこの「次なる一手」こそ、オバマ米大統領が先のリビアに関する演説で明確にしなかった部分であった。

武器供与については、反体制派にイスラム過激派がまぎれている危険性から、実現に至っていない。ケーガン氏の言うとおり「チキン・ゲーム」になりつつあるならば、多国籍軍側としては「いつまでやるんだ」という世論の声が大きくならないうちに、打開策を見出さねばならないだろう。

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