HSU 未来産業学部プロフェッサー
志波 光晴
プロフィール
(しわ・みつはる)1957年、福岡県生まれ。神奈川大学経済学部経済学科卒業後、プラントメンテナンス会社、非破壊検査装置会社で働く中で理科系の研究者を決意。放送大学教養学部で理科系を学び、東京大学先端科学技術研究センター研究生を経て、同大学工学部より工学博士を取得。同大学先端科学技術研究センター助手、(財)発電設備技術検査協会鶴見試験研究センター研究員、(独)物質・材料研究機構上席研究員を経て、2016年よりHSU未来産業学部プロフェッサー。専門は、材料工学、非破壊検査、信頼性評価。著書に「環境・エネルギー材料ハンドブック」(オーム社)など。
前回は、エジプトの錬金術は、物質化現象術ではなく、「物質や生物の魂向上のための輪廻転生加速術」だったのかもしれないと述べました(1)。この意味をどのように解釈し、実現するかが、錬金術の歴史でもありました。
すなわち、錬金術の歴史は、今日一般的となっている、「現時点が最高に進化した人類である」という一直線的な進歩の歴史観とは異なり、「過去には高度に発達した技術があり、秘儀として伝わっている。それをいかにして解読し、再現するか」というものだったのです。
では、失われた過去の優れた技術とは一体何だったのでしょうか。その中核となる原理を、今回は「物質」、「錬金術師の知識と技能」、「錬金術の操作と内容」の観点から紐解いてみます。