トルドー首相(左)と、シーア党首(右) 写真:/ Shutterstock.com
《本記事のポイント》
- トルドー現首相は「環境保護」「移民受け入れ」を進めた
- 「強いカナダ」「アメリカとの協調」を目指す野党・保守党のシーア党首
- 世界的な保守革命をカナダでも
カナダでは10日21日に総選挙が行われる。現職のトルドー首相率いる与党・自由党と、アンドリュー・シーア党首が率いる最大野党の保守党の、どちらが政権を握るかが注目されている。
カナダはG7の一角を担うものの、「目立たない」「影響力の少ない」国と捉えられがちだ。しかし、この選挙の後に、カナダに「変革」が迫っていることが伺える。
「環境保護」「移民受け入れ」を進めてきたトルドー首相
これまで、カナダが政治的に他国に比べて進んできた点といえば、「環境保護」「少数者の権利保護」、そして「移民受け入れの拡大」といったリベラルな政府の実現だ。トルドー首相はこうした政策の旗振り役を担ってきた。
カナダでは今年4月から、「温暖化問題」への対応が遅れている州に対して「連邦炭素税」を導入した。トルドー首相は「気候変動防止は国際合意」であるとしているが、人口が最も多く、産業の中心地でもあるオンタリオ州をはじめ、複数の州が裁判所に訴えを起こす事態となっている。
また、カナダではトロントに「ゲイシティ」があり、同性婚も認められているなど性的少数者(LGBT)の権利保護に力を入れている。その背景には、冷戦中の同性愛者差別がある。当時は、同性愛者が「スパイに利用されやすい」として政府や軍の職を解雇されていた。
トルドー氏は2017年に「私たちは間違っていました。申し訳ありません。私たちは、このようなことを二度と繰り返しません」と演説し、何度も謝罪を繰り返した。
カナダにとって最も影響の大きいアメリカとの関係についてだが、トルドー首相はアメリカのトランプ大統領と対立している。北米自由貿易協定(NAFTA)見直しや、アメリカが温室効果ガスの削減目標を定めたパリ協定を離脱したことなどがその理由だ。
中国問題でも板ばさみになっている。カナダの司法当局は、2018年にアメリカの要請で、中国の通信機器メーカー、ファーウェイの最高財務責任者(CFO)である孟晩舟氏を逮捕した。中国は報復としてカナダ人の元外交官らを拘束した上に、カナダからの食品の輸入を禁止する貿易封鎖に出ている。
二人が目指す国家のビジョンの違い
大川隆法・幸福の科学総裁は9月26日、トルドー首相・シーア党首の両守護霊の霊言を収録。二人の本心を聞き出し、それぞれが持つビジョンを明らかにした。
トルドー首相の守護霊は、「多様な価値観や文化的な伝統を尊重すること」が自身の主張のポイントであるものの、今後の世界のトレンドが分からず、カナダ政治の先が見えないと告白。カナダをまとめる核になるアイデンティティが欠如しているものの、現時点では打つ手がないことを認めた。
また、中国に関して「習近平はヒトラー以上」と警戒しているものの、アメリカのトランプ大統領については「習近平よりも危険」であるとし、「中国もアメリカも選べない」と、外交関係について決断しかねる状態であることを明かした。
トルドー首相の守護霊自身、これまで訴えてきた「多様性の尊重」などの主張について「人々はそれを歓迎してくれますが、『それは常識だ』と思っていて、もはやジャスティン・トルドーを必要としていない」と嘆いている。
「強いカナダ」「アメリカとの協調」を目指すシーア党首
一方、最大野党・保守党のシーア党首の守護霊は、トランプ大統領と協調することを前提に、「トランプ氏の手ごわい交渉を受けて立つ」という決意を語った。
さらに、いったんは移民を制限するかもしれないが、資源も多く、土地も広いため、アメリカの代わりに移民を受け入れることができるとの見通しを語り、「成功をつかみたいと思う人が入ってくるならば、カナダは偉大な国家になれる」という展望を明らかにした。
外交・防衛では、中国の台頭を警戒しつつ、「近いうちに、日米同盟の力によって敗れるでしょう。私もその同盟に加わりたい」として、中国包囲網を構築する上でカナダも役割を担う決意を示した。
この守護霊のビジョンと、総選挙に向けたシーア党首の主張を重ねると、目指す国のビジョンがくっきり見える。
シーア党首は、「連邦炭素税の撤廃」を目指すとともに、富裕層・低所得者層への減税を掲げる。経済面では、トルドー首相が推進した多国間協定ではなく「二国間協定」を支持。減税で国内の活力を上げ、関税による中国との「貿易戦争」を行うトランプ大統領と、足並みをそろえる方向だ。
中国への対応についても、シーア党首は「首相になったら、ファーウェイを5Gネットワークに入れることを禁止する」と強い姿勢をとることを主張。トルドー首相は中国に甘すぎるとして、貿易封鎖が続く場合は、「中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)にカナダが投資した2億5000万カナダドルの投資を引き上げる」考えを述べている。
世界的な保守革命はカナダでも
アメリカのドナルド・トランプ大統領、イギリスのボリス・ジョンソン首相など、「自分の国を強くする責任を自覚し、世界にも責任を持つ」ことを目指す保守政治家が続々と出ている。
カナダでは、与党・自由党と野党・保守党の支持率は拮抗しており、どちらが勝ってもおかしくないが、いずれにしてもカナダ政治に変化が必要な状況だ。これまでも友好関係を築いてきた日本もカナダと共に、リーダー国として世界に責任を持ち、さらなる協力体制を築く未来に向けた準備を始めるべきだろう。
なお、「カナダ・トルドー首相守護霊インタビュー/カナダ・保守党シーア党首守護霊インタビュー」では、他にも次のような論点への言及があった。
トルドー首相守護霊インタビュー
- カナダをどういう国だと思っているか
- 環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんをどう見ているか
- 「リベラル」「社会主義」をどう考えているか
- LGBT問題に対する「本心」
シーア党首守護霊インタビュー
- 男女の役割をどう見ているか
- トルドー首相の教師時代のスキャンダルがなぜ起きていると思うか
- 香港問題をどう考えているか
- 過去世は何をしていたか、日本への思いは?
ここに紹介したのは霊言のごく一部です。
詳しくは幸福の科学の施設で、ぜひご覧ください(下記参照)。
・幸福の科学サービスセンター Tel:03-5793-1727
火~金/10:00~20:00 土日祝(月曜を除く)/10:00~18:00
・同グループサイトの支部や精舎へのアクセス
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