《記事のポイント》

  • 米海軍が、UFOを目撃した時に報告する手続きや方法のガイドライン作成に着手。
  • かつて軍人たちはUFOを目撃しても報告することをためらっていた。
  • 目撃者の多いUFOの存在を無視することのほうがよほど「異常な事態」といえる。

国防の最後の砦である軍隊が、度重なる未確認飛行物体の存在を無視し続けることは、もうできないようだ。

米海軍が、UFOを目撃した時に報告する手続きや方法といったガイドライン作成に着手した。4月23日付政治専門のニュースメディアPOLITICO、FOX NEWS等が伝えた。

記事によれば、「近年、許可されていない、もしくは確認できない飛行物体が軍の領域や空域に侵犯するという報告が相次いでいる」と海軍の担当者がPOLITICOに語り、「国家の安全保障のために、米海軍と空軍はこれらの情報を極めて真剣に受け止め、すべての報告を調査する」とのことだ。

アメリカなら、すでにそのようなことはやっていたのではと思われがちだが、実は正式な「プロトコル」(ルール)があったわけではない。むしろ、現場の軍人たちは、自らのキャリアを棒に振るかもしれないという恐れがあり、進んで報告する人のほうが稀である。

UFO情報の報告をためらう軍人たち

元米国防情報局員で、上院情報局委員会の元メンバーでもあったクリス・メロン氏は、「UFOやUAP(未確認空中現象)と言われるこのような現象は、研究すべきというよりも、むしろ無視すべき異常現象という扱いになっている」「多くのケースで、軍人は、マッハ3の速さで飛ぶ物体を示す衛星やレーダーのデータをどう処理すべきかわからないのだ。そして、今までの航空機やミサイルとは異なるという理由で、そのデータを放棄してしまうのだ」という。

かつて、国家安全保障の潜在的な脅威であるとしてこうした情報に対処することを主張してきた人たちは、長らく軍のリーダーたちに、このような現象にもっと注意を払うことと、報告を上げても軍のキャリアに差し支えることのないような文化を形成するよう訴え続けてきたのだが、そのような動きが現実化してきたといえる。

異常な情報を無視するスタンスは問題がある

新ガイドラインは、現在作成中であり、詳細は不明だが、議員やそのスタッフたちからのリクエストに応えて、すでにパイロットたちだけでなく、軍情報局によって一連のブリーフィング(説明会)がなされている。

ちなみに、軍人らは未確認飛行物体を宇宙人の飛来と思っているわけではないという。とはいえ、地球人の乗り物と言い切ることもできないから未確認なのであり、当然、調査してしかるべきである。

なお今回の動きは、2017年にPOLITICOやニューヨークタイムスが、「ペンタゴンが極秘のUFO研究をしていた」ことを暴露し、世界中のメディアに注目されて以降、米議会でも注目されてきた中で始まったとのことだ。中でも、元上院議員ハリー・リード氏は、パイロットたちが目撃報告をためらうのを見て残念に思い、現職議員たちにUFO研究のロビー活動を行っていたのだ。

現場のレーダーのデータに異常現象が起き、パイロットが目視しており、何度も多くの人に目撃されているにもかかわらず、「認定されているものとは違う」のでデータを無視することのほうが、よほど「説明できない状況」といえるのではないだろうか。(純)

【関連記事】

2019年1月18日付本欄 元米上院議員 UFO研究を現職議員にバトンタッチ

https://the-liberty.com/article/15310/

2017年12月18日付本欄 米国防総省の"UFOシャドウプロジェクト"が明るみに!世界のメディアも大騒ぎ

https://the-liberty.com/article/13937/