事件の犠牲者の冥福を祈る人々。写真:Michael W NZ / Shutterstock.com
《本記事のポイント》
- ニュージーランドのクライストチャーチで起きたテロの背景には、白人至上主義があった。
- 銃規制の強化だけでは、悲劇を食い止めることは難しい。
- 人は様々な立場で生まれ、経験を積んでいるという「転生輪廻の思想」が、憎しみを乗り越えるカギ。
ニュージーランドのクライストチャーチにあるモスク2カ所で、15日に銃乱射事件が起き、50人の尊い命が奪われた。
人々が祈りを捧げる場所で、憎しみによる悲劇が起きたことは痛ましい。犠牲者の冥福を心より祈りたい。
背景にある白人至上主義
事件から数日が経ち、次第に容疑者の犯行動機が明らかになってきている。
逮捕されたブレントン・タラン容疑者は、SNSに犯行声明を投稿し、襲撃時にはSNSで生中継をしていた。犯行声明は、事件直前にアーダーン首相を含む70の宛先にも送られたという。
犯行声明には、攻撃対象として、パキスタン系移民2世でイスラム教徒のロンドンのカーン市長、移民に寛容な政策をとるメルケル独首相、トルコのエルドアン大統領の3人が名指しされていた。
そして、非白人の移民がヨーロッパなどに入ってくることを「侵略」「白人へのジェノサイド(大量殺害)」などと称し、「外国の侵略者に殺害された何十万人もの人々のために復讐する」と、犯行の動機を述べている。
事件を受けて、アーダーン首相は銃規制の強化を発表した。過激な思想を持った人物が、簡単に銃を手に入れられる状況については考え直す必要があるかもしれない。だが、銃規制だけでは問題は解決しない。人々の心に憎しみがある限り、どのような道具でも人を傷つけるものになり得るからだ。
お互いの違いを乗り越えるために
今回の事件は白人至上主義に根差したものだったが、有色人種を差別したとして、白人をターゲットにしたテロや暴力事件も起きている。
このように、人種や宗教の違いを背景としたテロ事件が相次いでいるのは、どのようにお互いの違いを乗り越えていけばよいのか答えを出せない既存の宗教や哲学の限界ともいえる。
違いから生じる憎しみを乗り越えるヒントに、転生輪廻の思想がある。
幸福の科学では、人間の本質は永遠の生命を持つ魂であり、さまざまな環境にさまざまな立場で生まれ、魂の学びを得ているという霊的真実を明らかにしている。
すなわち、現在は有色人種で生まれていても、過去は白人として人生を送ったことがあるかもしれないということだ。もちろん逆も真なりで、現在は白人として生まれていても、過去は有色人種だったかもしれない。
また、転生の過程で、多様な国籍や宗教も経験する。
「憎んでいる相手の立場は、過去の自分の姿だったかもしれない」と考えれば、肌の色や人種、宗教の違いで憎しみ合うことがどれほど愚かなことであるかが分かるだろう。
「どのような国に生まれようとも、私たちは同じ神の子であり、等しく神の性質を宿している」という宗教的真実を広めることが、悲劇を止める力になる。
(小川佳世子)
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