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《本記事のポイント》

  • 11月末の米中会談に向け、貿易戦争の「一時休戦」がささやかれる
  • 米専門家が、中国との合意は意味がないと警鐘を鳴らしている
  • 会談がどう転んでも自国を守れるよう、日露平和条約の即時締結を

米中貿易戦争は「休戦」するのか――。

トランプ米大統領は16日(現地時間)、貿易戦争をめぐって中国が142項目に渡る「行動計画」を提出してきたと明かし、「中国に関税をこれ以上科す必要はないかもしれない。中国も取引成立を望んでいる」と述べた。

11月末に予定されているG20での米中首脳会談に向け、トランプ政権が貿易協議を再開する条件としていた「具体的な改善案」に対し、中国側が回答した。

ただトランプ氏は、「重要な4、5項目が除外されている」「私にとってまだ受け入れられるものではない」とさらなる譲歩を求めている。中国が、技術の窃盗や、知的財産権侵害を伴う先端産業育成計画「中国製造2025」の抜本的な見直しを拒否していると見られる。

「習近平に妥協という選択肢はない」

米中貿易戦争の「一時休戦」がささやかれる中、編集部が何度も取材しているアジア問題専門家、ゴードン・チャン氏がこのほど、米外交専門誌「ナショナル・インタレスト」に寄稿し、「中国と取引しないというのが、アメリカにとってベストの取引だ」と述べている。

チャン氏は、アメリカが中国と取引すべきではないとする理由として、米中が貿易に関して何らかの合意に至ったとしても、中国は約束を守らないだろうと指摘する。

チャン氏が警戒するのは、中国の習近平国家主席の絶対的権力を求める傾向だ。今年3月、習氏は2期10年までと定められていた国家主席の任期を撤廃している。チャン氏は、「絶対的な支配者」を目指す習氏に「妥協」という選択肢はないとし、こう記している。

「習氏は明らかに絶対的な権力を求めている。自国でも政治的な妥協を好まないほど野心を抱いた人物が、ドナルド・トランプ大統領のような強い意志を持った人物に対して易々と妥協するわけがない」

つまり、習氏には覇権主義を止める意志はなく、米中が何らかの形で合意しても「空約束」となり、中国に時間の猶予を与えてしまうということだ。

米中会談の行く末は未知数だが、日本としては、アメリカがどのような方向に舵を切ったとしても、自国やアジアの平和を守る体制を整える必要がある。覇権拡大を助長する中国の経済圏構想「一帯一路」への協力方針を撤回するとともに、アメリカに次ぐ軍事大国とされるロシアとの平和条約の締結を急ぐべきであろう。

日本は、戦後70年以上続いたアメリカ頼みの外交から抜け出し、中国に対峙できる独自の体制を築くべきである。

(片岡眞有子)

【関連書籍】

幸福実現党刊 『日露平和条約がつくる新・世界秩序 プーチン大統領守護霊 緊急メッセージ』 大川隆法著

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