コラムニストのリチャード・コーヘン氏が3月1日付のワシントン・ポスト紙に、Can the Arab world leave anti-Semitism behind?(アラブ世界は反ユダヤ主義を過去のものにできるか?)と題して論考を寄せている。
第一次大戦以降にかけて中東にナチスの影響があったことは知られているが、彼はその影響を色濃く受けたアミー・アル=フサイニーについて触れている。
フサイニーは、汎アラブ主義をとなえ、シオニズムと対峙した人物だ。彼よってもたらされた反ユダヤ主義の痕跡を、アラブ世界は、過去のものとすることができるだろうか?
・ コーヘン氏は、これに対して否定的である。最近でも、ムスリム同胞団のメンバーで、宗教的リーダーとして尊敬されているSehikh Yusuf al-Qaradawiがエジプトのタハリール広場で、「ヒトラーはユダヤ人に聖なる罰を与えるためにアラーから送りこまれたのだ」と演説するのを100万人のエジプト人がきいている。
・ 民主主義の問題は、人々の良識ではなく、偏見になびいてしまうというところにある。反ユダヤ主義は、無節操な政治家によって利用されたのだ。
・ アラブ世界の政治家たちが反ユダヤ主義と国粋主義を結びつけてしまわないとも限らない。
コーヘン氏は、パレスチナ問題をいまこそ話し合うべきときはないと結ぶ。だがハマスも勢いを増し、ヨルダンも政情が怪しくなっているのは確かである。そもそも民主主義のなかからヒトラーが生まれたのを想起すれば、コーヘン氏が今後のアラブ世界に、反ユダヤ主義と国粋主義が結びつく可能性を提起したのはもっともであろう。(HC)
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