米中で普及が進むライドシェア(画像はShutterstock.com)。

《本記事のポイント》

  • ウーバーが空飛ぶタクシーの構想を発表するも、日本はライドシェアの普及が進まず
  • ライドシェアは、社会の変化に対応できるサービス
  • 安全面の課題は、規制をつくればいい

米配車サービス大手のウーバーテクノロジーズがこのほど、道路混雑の解消を目指した「空飛ぶタクシー」のコンセプト機「eCRM-003」を発表し、2020年から飛行試験を始める計画を明らかにした。

アメリカは、未来産業の実現に向けて動き出しているが、日本では、そもそも、乗用車の相乗りである「ライドシェア」の普及すら進まず、世界の流れから出遅れている。

ライドシェアは人手不足や高齢化などに対応可能

ライドシェアとは、タクシーの相乗りや、一般人が自家用車で客を輸送するサービスを指し、タクシー業界の人手不足(2025年には、ドライバーが約10万人減少)やドライバーの高齢化問題などを解消しつつ、格安で客を運べるメリットがある。訪日外国人が増加し、需要が高まっているにもかかわらず、供給が追いつかない可能性が指摘されている。

タクシー業界の問題は、参入規制のほかに、ドライバーの二種免許の取得、営業区域の制限、フルタイムの雇用などが挙げられ、新規参入が困難となっている。ライドシェアを導入すれば、これらの解決につながるだけでなく、大雪や電車の遅延などの一時的な需要の急増にも対応できる。

安全面の懸念は規制をつくればいい

一方、日本共産党は「安全性」を理由にライドシェアの導入に反対している。しかし、その懸念については、客を輸送できるドライバーを一定基準を満たした者にだけに限定したり、利用者がドライバーの運転を評価し、競争を促す仕組みをつくれば解消できるだろう。

最近、問題視されている訪日外国人への「白タク」(無許可タクシー)も、現行制度がニーズを満たしていないことから生じている。違法な営業行為を取り締まるだけでは根本的な問題は解決しない。社会の変化に即した規制緩和が必要とされている。

政府は規制改革推進会議で、タクシーやバスがない空白地帯に限って、自家用車で客を運ぶことを認めることを検討している。だが、過疎地だけに導入を認める合理的な理由は見当たらない。そこには、日本共産党だけでなく、国土交通省や既存の業界への配慮も見え隠れするが、大胆な規制緩和を進めなければ、日本は世界の流れに乗り遅れるだろう。

(山本慧)

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