写真:ロイター/アフロ、 映画「さよなら銀河鉄道999」「宇宙戦艦ヤマト」「トップガン」のポスター。映画「ハチ公物語」のDVD。マンガ『宇宙戦艦ヤマト』。おニャン子クラブ、 「ドリフ大爆笑」、トヨタのセリカ、荻野目洋子さん、ソニーのウォークマン、リゲインのCM(YouTube)。DJジャスティンさん(公式HP)。
2018年5月号記事
ブームをつくる発想術
さらば昭和、されど昭和。
昭和が終わりを告げて、30年。
間もなく、平成が終わろうとしているのに、世はまさに昭和ブームだ。
なぜ、人々は昭和に魅了されるのか。そして、流行はどのようにつくられるのか。
その道のプロたちに、記憶をプレイバックしてもらい、ブームを生み出すアイデア発想術について聞いた。
(編集部 山本慧、山本泉、山下格史)
近年、「昭和」が脚光を浴び、一つのブームとなっている。
象徴的なのは、歌手の荻野目洋子さんのヒット曲「ダンシング・ヒーロー」(1986年)に合わせ、派手なボディコン衣装で踊る、大阪府立登美丘高校のバブリーダンスだ。
YouTubeでキレキレのダンスが大ブレイクし、昨年末のNHK紅白歌合戦や日本レコード大賞にも登場。ネット上には、「純粋にすごい」「皆、格好良いなぁ」などのコメントが書き込まれ、荻野目さんも再ブレイクを果たした。
お笑い芸人の平野ノラさんも、「しもしも?」「おったまげ~」などのバブルネタで大ブレイク。今年3月には、昭和からの人気アニメ「ドラえもん」のコラボCMに「ノラえもん」として登場し、可愛いと話題になった。
またJR東日本のスキー旅行キャンペーン「JR SKISKI」は、バブル期にスキーブームを巻き起こした原田知世さん主演映画「私をスキーに連れてって」(87年)とのコラボ企画。
他にもロックバンドのサカナクションが「新宝島」(15年)をリリースしたが、ミュージックビデオはドリフターズのお笑い番組「ドリフ大爆笑」(77~97年)のオープニングと瓜二つ。
さらに、「Y! mobile」のCM(16年)の舞台は、月額1980円の使用料と80年代をかけ、80年代のディスコクラブに。EXILE HE SECONDのシングル「SUPER FLY」(17年)も、80年代をコンセプトに制作された。
今年3月公開の映画「坂道のアポロン」では小松菜奈さんが60年代の高校生の青春を演じる。4月からは漫画「キャプテン翼」(81~88年)のリメイク版がテレビアニメで放送される。
昭和人気は若者や外国人にも
「あの時代は勢いがあった。人々が夢を見たいんじゃないですかね」と、放送作家の安達元一氏は語る。昭和は、中高年にとっては「懐かしい時代」だが、若者にとっては「新鮮な時代」に映るのだろう。
東京・浅草では、「古きよき昭和歌謡のリバイバル」をコンセプトにしたレビュー劇団「虎姫一座」が、これまで3000回以上の公演を行った。平成生まれの10~20代にも「パワフル」「懐かしい」と評判だ。
昭和は外国人にもウケているようだ。昭和歌謡パーティが月に1度渋谷で開催され、外国人DJが昭和歌謡や70~80年代のヒップホップなどを奏でる。参加者の多くは外国人や若者で、「リズムがスタイリッシュ」と評判だという。
昭和をリバイバルした例は数多くある。その理由は何なのか。そして、流行はどのようにしてつくられるのか。さまざまな分野の人々に話を聞いた。
1. 登美丘高校のバブリーダンス(YouTube)
2. 平野ノラさん(写真:つのだよしお/アフロ)
3. JR SKISKI(公式HP)
4. サカナクションの「新宝島」(YouTube)
5. 「Y! Mobile」のCM(YouTube)
6. EXILE THE SECONDの「SUPER FLY」(公式HP)
7. 「坂道のアポロン」(YouTube)
8. アニメ「キャプテン翼」(公式HP)
9. 虎姫一座(公式Facebook)。
ブームのワケは「憧れ」にあり / 松本零士氏
流行にも変わらない価値がある / 安達元一氏
昭和ブームと変化する親子関係 / 原田曜平氏
MA-1が女性向けデザインに / 大极勝氏
「教師びんびん」の裏には『聖書』があった / 赤羽博氏
さらば青春、されど青春。