21日付産経新聞に、スーパー繊維、人工クモ糸実用化の記事があった。クモの糸は強度や伸縮性に優れ、環境にも優しいスーパー繊維だが、人工合成や量産化は困難とされてきた。ところが大学発ベンチャー「スパイバー株式会社」(山形県鶴岡市)が独自の人工合成技術を開発し、実用化にめどをつけた。
クモの糸はナイロンに比べて強度が3・5倍、伸縮性も4倍にのぼり、衝撃吸収力は鋼鉄の数十倍で簡単にちぎれない。そうした強靭かつ伸縮力のあるクモの糸を、ジョロウグモなどのDNA配列を読み取り、クモの糸を作る遺伝子を割り出し、微生物に組み込んで、糸を作り出すことができるようになった。
人工クモ糸は、炭素繊維に匹敵する強度、ナイロンを上回る伸縮性を持つ。また比重が炭素繊維の3分の2で非常に軽い。さらに石油から作る合成繊維と異なり、生分解性があって環境にやさしい。今後、複合材料として自動車や航空機、また補強繊維としてタイヤや水素タンクに、そのほか、人工血管や縫合糸、防弾チョッキなどが期待できるという。
実用化は4~5年後。若さあふれるチャレンジ精神の賜物であり、新たな産業の息吹は気持ちを明るくしてくれる。(ア)
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