エジプトのデモについての海外メディアの論評で、「トルコ型」の民主化になることへの期待が表明されている。

6日付のイスラエルの英字紙「エルサレムポスト」は、ワシントン近東政策研究所の上級フェロー、ソネル・チャアプタイ氏が「エジプトにとってのトルコ・モデル」を書いている。この中で同氏は「トルコの経験は、ムバラク後のエジプトの教訓を与えることができる」述べている。その理由として、民主化への移行期に軍が政権の一部を担い、政治の安定をもたらしたことや、その間に民主政治を担う多様な政党を育てることができることなどを挙げている。

アメリカのニュース・ウェブサイト「リアル・クリア・ワールド」では7日付で、アメリカン大学のゲリー・ウィーバー教授らの連名で「エジプトはイラン型ではない」という論評を出している。この中で以下のように指摘している。

「今週、イランの宗教指導者ハメネイ師がエジプトの状況はイスラム勢力が国王を追放したイラン革命と似ていると述べたが、エジプトの運動は世俗的なものだ。エジプトのデモが平和裏に民主化につながったら、イランでも同じことが起こると、イランの現政権は不安に思うだろう」

「よりよい類似はエジプトとトルコだ」「どちらも宗教と政治を分離してきた歴史があり、トルコはイスラムと民主政治の融合という実験を行っている」「イスラム教徒が多数派だが、基本的に世俗的な二つの国、トルコとエジプトは、イスラム権威主義のイランとは大きな違いを見せるだろう」

日本のメディアでも朝日新聞が7日付で、山内昌之・東大大学院教授のインタビューを掲載している。「米国にとって理想的な新政権とは、軍がシビリアンコントロールを受けるトルコ型だろう。近代トルコの初代大統領アタチュルクは、政治や教育を宗教から切り離した。現在も国是である世俗主義は貫かれ、極端なイスラム主義を排除してきた」「欧米が危惧するのは、エジプト国民がムスリム同胞団中心の宗教色の濃い政権を選び、ヒズボラやハマスに影響力を持つイラン型国家となることだ。イランのように核保有を求め、中東全域に核が拡散することを最も恐れている」

エジプトのデモの行方は、「東欧民主化型」「トルコ型」「イラン型」の三つの可能性がある。各国の主要な専門家は「トルコ型」を期待する見方が強くなっているようだ。(織)

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