イスラエルはエジプトの政変をどんな思いで見ているのか。3日付けインターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙に、イスラエルの教育研究機関、シャロム・ハートマン研究所のYossi Klein Halevi研究員が論説を寄せている。日本では目にする機会の少ない、ユダヤ人の本音を感じさせる文章なので、抜粋して紹介する。論説のタイトルは“Israel, alone again? ”(イスラエル、また一人ぼっち?)
・ イスラエル人の多くは、エジプトで事実上唯一の野党・ムスリム同胞団が権力を握るのは時間の問題と見ている。かつてのイランやトルコのように、エジプトでも彼らイスラム主義者が暴力などの手段によって支配を強めることを、イスラエル人は恐れている。ムスリム同胞団が長年、イスラエルとの和平に反対を唱え、自らが政権につけば1979年のエジプト=イスラエル平和条約を撤廃することを公約に掲げてきたからだ。
・ エジプトがイスラム主義国家になれば、イスラエルにとって究極の悪夢(the ultimate nightmare)が現実となることもあり得る。すなわち、周り中をイランの同盟国あるいはその代理人に取り囲まれて生きていかねばならないという状況だ。
・ イスラエルにとってエジプトとの和平状態は、戦略的にだけでなく心理的にも欠かせない(essential)ものであり続けてきた。イスラエル人の理解するところでは、イスラエルとアラブ世界の対立が止むかどうかは、エジプトとの和平の永続性にかかっているからである。
今後の動向によっては、エジプトとの和平という心理的支えが失われかねない。そうなれば、イランを中心とするイスラム世界への「恐怖」や「悪夢」に怯えるイスラエルはどう動くのか。最悪の事態として起こり得るイラン対イスラエルの核戦争を避けるためにも、国際社会の結束した政治的・宗教的努力がなされねばならない。(T)
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