高知県室戸市にある明星来影寺に立つ、空と海を見つめる空海像。台座を含めた高さは21メートルで、日本最大の空海像だ。
2016年11月号記事
空海、行基、日本の神々―
「聖地・四国」2500年の歴史
「お遍路」で有名な四国。
全国から多くの巡礼者が集うが、解明されていない謎も多い。
文献を読むと、日本神道の神々や行基などとの関係も見えてくる。
現地を訪れ、その謎に迫った。
(編集部 山本慧 / 写真 大滝政文)
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空海、行基、日本の神々― 「聖地・四国」2500年の歴史 1
「私はステージ4の末期ガンなんです。だから死ぬ前に、お遍路をやり遂げたくて。必死になってお寺を回っています」
9月上旬、高知県で出会った70代の女性は笑いながらそう話した。
巡礼者20万人と言われる「四国八十八ヶ所」。全行程1千キロを超える空海ゆかりの寺をめぐるお遍路には、近年、外国人の姿も目立つという。
特に今年は、60年に一度の丙申の年で、八十八ヶ所を逆回りすれば、御利益が3倍になると言われる。
ただその一方で、巡礼の意義や、空海の功績を知る人は減っている。八十八ヶ所のとある寺の住職は、「観光でお遍路をする人はいても、信仰心でやる人はほとんどいません」と嘆く。
そもそも、空海がどうして四国を修行の地として選んだのかすら分かっていない。疑問を抱いた記者は四国を巡った。
お遍路は霊域を整えるため
「神道+仏教」が四国の宗教心
八十八ヶ所の別の顔