一連の中東のデモが、1979年にイスラム主義者が政権を握った「イラン革命型」なのか、1989年の「東欧民主化型」なのかが焦点だと昨日書いたが、イラン型を懸念する声がさまざまな識者から上がっている。

フォード、カーター、レーガン政権の下で国家安全保障委員会イラン関係顧問を務めたゲイリー・シック・コロンビア大教授は、アメリカの外交専門誌「フォーリン・ポリシー」でこう指摘している。

「無理に類比させる必要はない。イランとエジプトはまったく違う場所にあるし、まったく違う政治的な動きをする。しかし、今日の米政権が決断するための基礎的な条件は、カーター政権が30年前に直面したジレンマとほとんど違わない」

イラン革命では、アメリカの支援を受けて近代化政策をとっていた国王が倒され、イスラム法学者ら宗教勢力が革命に成功。7カ月後、アメリカ大使館人質事件が起こって、アメリカとの関係は最悪となった。カーター大統領は次の選挙でレーガンに敗れてしまった。

エジプトのムバラク大統領は親米・親イスラエルで、イスラム過激派から何度も暗殺を狙われている立場。1年で約1300億円の軍事援助をアメリカから受けている。

エジプトが「イラン革命型」になってしまい、オバマ大統領の「カーター化」が起こるのか。それがオバマ政権の最大の心配だ。

シック教授は論考をこう締めくくっている。「Welcome to the real world,Mr.Obama 」 オバマ大統領が現実の国際政治の難しさに直面している。(織)

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