30日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が5日間の日程を終え、閉幕した。各国の政財界指導者らが「新しい現実に向けた規範の共有」をテーマに各分野につき討議したが、国際社会におけるリーダーの不在が浮き彫りになった。

金融危機後、先進国は財政赤字の削減に追われる。米国は成長や雇用を妨げないよう配慮しつつも財政再建に力を入れざるを得ず、ドル基軸には中仏露などから疑問が呈された。イギリスは消費税引き上げなど財政再建を優先し、独仏は専らユーロ防衛に力を入れる。国債を格下げされながら財政問題について見解を述べることもできない日本の存在感の低さは言うまでもない。

一方で新興国、特に世界第2位の経済大国となった中国は存在感を増し、軍拡に対する各国からの批判も鳴りをひそめた。しかしインフレ懸念や所得格差などの問題もあり、同国の陳商務相が「世界一の途上国としての責任と義務は負う」と述べるなど、世界をリードするには自覚が足りない。

近年、G8、G20、G2など国際社会をリードする新たな枠組みが模索されているが、いまだ信頼に足るものはできておらず、このリーダー不在の国際社会の不安定さがダボス会議でも浮き彫りになった。会期中にはエジプトで大規模な反政府デモが起きたが、これについても本格的な議論はなされなかった。日本は国際社会をリードするべき先進国かつ経済大国として自覚を高めるべきだ。(由)

*現在、デイリーニュースクリップは無料でお読み頂けます。ザ・リバティwebの購読者にはニュースクリップをメールでも配信しております。